内容説明
仔猫を拾った見知らぬ男女の極上のラブストーリー(「猫のパジャマ」)、賭けで合衆国を巻き上げられた大統領の最後の大勝負(「酋長万歳」)、素晴らしく知的で優しい異星人との恐怖の邂逅(「趣味の問題」)…。初期の傑作「さなぎ」をはじめ、人生のほろ苦い奇跡に満ちた巨匠による魅惑の二十一篇。絶筆となった自伝的エッセイを特別収録。
著者等紹介
ブラッドベリ,レイ[ブラッドベリ,レイ] [Bradbury,Ray]
1920‐2012年。イリノイ州生まれ。アメリカ文学を代表する幻想作家。47年、初めての作品集『黒いカーニバル』を発表。50年に刊行した『火星年代記』は世界的な評価を受ける
中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。翻訳家・アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うなぎ
20
引き続きプチブラッドベリブーム中。この翻訳者の訳が好みだから『万華鏡』も読みたい。表題作の猫のパジャマって題名からしてズルすぎる、こんなん気になるに決まってる。すごく短いけど、可愛い猫ちゃんが登場するほのぼのしたラブストーリーだった。他の短編もバラエティー豊かな内容。トップバッターの『さなぎ』が強烈な読後で、目がカッと見開いた感じ。前の『みずうみ』を読んだ後みたいに、これだけでも読めて良かった。なんかいいわぁ。2025/01/23
阿部義彦
20
レイ・ブラッドベリが晩年に出した、未発表の若い頃に書いて忘れて自宅に打ち捨てて置かれた蔵出し作品を含む作品集。かと言っても半分は新作で2003年04年発表のものも有るという贅沢さです。昔に書かれたのに一編だけ読んだような記憶があるのがあったが訳者あとがきで納得。奥様を03年に亡くしても創作は衰えませんでした。心暖まる作品もよいが、私が好きなのは『十月は黄昏の国』のいびつで不気味な作品たち「こびと」や「つぎの番」⟵最高傑作だと思ってます。この本では『エピローグ~』が良い、GKチェスタトン私も大好き。2024/07/09
えーた
16
既発表作品と未発表新作を交互に織り交ぜた21篇収録のレイ・ブラッドベリ短編集。本作に関して言えばこの作家特有の幻想・怪奇趣味な作品は控えめで、内容もよく分からないもの、とても面白いものが半々、といった感じでした。「夜明け前」「マフィオーソ…」など、タイムトラベル物はどれもロマンとユーモアがあって良かったし、「さなぎ」「変身」は有色人種問題を孕んだアイロニーと告発のピリッとした佳品。そんな中、表題作よりも私が一番笑って気に入った逸品は人類のファースト・コンタクトを異星人の視点から描いた「趣味の問題」でした。2025/05/17
NAOAMI
15
凡そ米国の文化に詳しくないし、古き良き時代がどうで今に至るまでこうだとか、よく解らず読んでいるので、たぶんレイ・ブラッドベリの良さはほとんど伝わってこないってことか。しかし描かれた年代を改めて見直すと何でこんな発想に至るのか、それが彼の国の「自由」なのかと思うくらい奇想に満ちている。SFのようなファンタジーのような、それでいて背景にシニカルを感じさせる。強烈な会話の応酬、情景描写の全てが理解できたわけではないが、感じ入ることはできたかなと思う。比較的解り易い表題作、他数点お気に入りを見つけた。それが収穫。2024/05/25
OHNO Hiroshi
9
絶筆収録。2012年6月5日91歳で永眠。長い闘病だった。生きる希望と最後までの執筆意欲。2035年のカレンダー。意味はあるのかはどうでもよく。淡々とストーリーが展開すふ。最低でもそれが書かれた作者と同じ年齢でその作品を読む。思いを馳せる。寄り添う。魅力を味わう姿勢かわ大切。猫のパジャマ、cat’s pajamas はすばらしい/ものを意味する俗語。 おれの敵はみんなくたばった。 確かに。2024/05/09
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