内容説明
仔猫を拾った見知らぬ男女の極上のラブストーリー(「猫のパジャマ」)、賭けで合衆国を巻き上げられた大統領の最後の大勝負(「酋長万歳」)、素晴らしく知的で優しい異星人との恐怖の邂逅(「趣味の問題」)…。初期の傑作「さなぎ」をはじめ、人生のほろ苦い奇跡に満ちた巨匠による魅惑の二十一篇。絶筆となった自伝的エッセイを特別収録。
著者等紹介
ブラッドベリ,レイ[ブラッドベリ,レイ] [Bradbury,Ray]
1920‐2012年。イリノイ州生まれ。アメリカ文学を代表する幻想作家。47年、初めての作品集『黒いカーニバル』を発表。50年に刊行した『火星年代記』は世界的な評価を受ける
中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。翻訳家・アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
18
レイ・ブラッドベリが晩年に出した、未発表の若い頃に書いて忘れて自宅に打ち捨てて置かれた蔵出し作品を含む作品集。かと言っても半分は新作で2003年04年発表のものも有るという贅沢さです。昔に書かれたのに一編だけ読んだような記憶があるのがあったが訳者あとがきで納得。奥様を03年に亡くしても創作は衰えませんでした。心暖まる作品もよいが、私が好きなのは『十月は黄昏の国』のいびつで不気味な作品たち「こびと」や「つぎの番」⟵最高傑作だと思ってます。この本では『エピローグ~』が良い、GKチェスタトン私も大好き。2024/07/09
NAOAMI
13
凡そ米国の文化に詳しくないし、古き良き時代がどうで今に至るまでこうだとか、よく解らず読んでいるので、たぶんレイ・ブラッドベリの良さはほとんど伝わってこないってことか。しかし描かれた年代を改めて見直すと何でこんな発想に至るのか、それが彼の国の「自由」なのかと思うくらい奇想に満ちている。SFのようなファンタジーのような、それでいて背景にシニカルを感じさせる。強烈な会話の応酬、情景描写の全てが理解できたわけではないが、感じ入ることはできたかなと思う。比較的解り易い表題作、他数点お気に入りを見つけた。それが収穫。2024/05/25
OHNO Hiroshi
7
絶筆収録。2012年6月5日91歳で永眠。長い闘病だった。生きる希望と最後までの執筆意欲。2035年のカレンダー。意味はあるのかはどうでもよく。淡々とストーリーが展開すふ。最低でもそれが書かれた作者と同じ年齢でその作品を読む。思いを馳せる。寄り添う。魅力を味わう姿勢かわ大切。猫のパジャマ、cat’s pajamas はすばらしい/ものを意味する俗語。 おれの敵はみんなくたばった。 確かに。2024/05/09
海猫兄弟
3
猫のパジャマには素晴らしい人や最高のものという意味があるそうで、この短編はその題名に違わずほっこりとした読後感をもたらす。州道に捨てられた一匹の子猫を別々の車で通りがかった男と女が同時に拾い上げ、互いに所有権を主張してホテルの一室で議論するという、何ともおかしな話。女の名前はキャサリン(キャットと略されることが多い)男の名前はトム、最高にイカしてる。その他では幽霊たち、さなぎ、島、酋長万歳がお気に入り。いつもの悪夢に追いかけられるブラッドベリとは一味違う、平和な日常が崩れていくモヤモヤした感じが癖になる。2024/09/03
孤読 乃仲
2
読了。17日間。2024/10/10