内容説明
文明はなぜ爆発的な進歩を遂げ、近代ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか?その答えは「帝国、科学、資本」の相互に緊密につながったシステムである。帝国に支援された科学技術の発展にともなって、「未来は現在より豊かになる」という将来への信頼が生まれ、拡大する資本主義の魔法がもたらされた。文明は人類を幸福にしたのか、私たちはどのような存在なのか。記念碑的名著!
目次
第3部 人類の統一(宗教という超人間的秩序;歴史の必然と謎めいた選択)
第4部 科学革命(無知の発見と近代科学の成立;科学と帝国の融合;拡大するパイという資本主義のマジック;産業の推進力;国家と市場経済がもたらした世界平和;文明は人間を幸福にしたのか;超ホモ・サピエンスの時代へ)
著者等紹介
ハラリ,ユヴァル・ノア[ハラリ,ユヴァルノア] [Harari,Yuval Noah]
イスラエルの歴史学者、哲学者。1976年生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えるかたわら、2020年のダボス会議での基調講演をはじめ、『ニューヨーク・タイムズ』紙、『フィナンシャル・タイムズ』紙への寄稿など、世界中に向けて発信し続けけている
柴田裕之[シバタヤスシ]
翻訳家。早稲田大学・Earlham College卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
114
哲学者ハラリの著作(英語版2014年)の邦訳文庫版下巻。認知革命、農業革命を経て、人類は帝国・宗教の概念を創りだし分散した存在から統一へ。下巻はほぼ全巻、科学革命について。西暦1500年頃まで人類は停滞の中にあったが、その後の500年間に科学技術を手にし急速な発展を遂げた。宗教などによる近代以前の伝統では重要なことは既に全部知られていて、偉大な神が全てを網羅する知恵を持っているとされていたが、著者は近代科学は「我々は全てを知っているわけではない」との前提に立つことにより生まれたと言う。⇒2024/05/01
ふみあき
73
世界的ベストセラーだけあって、遅読のわたしが一気読みする面白さだったが、上巻と比べると新鮮な驚きは少なかった。この前読んだマーク・コヤマ&ジャレド・ルービンの『「経済成長」の起源』や、スティーブン・ピンカーの『21世紀の啓蒙』などで聞きかじった内容が多かったせいかも。2024/11/10
esop
65
宗教は超人間的な秩序の信奉に基づく人間の規範と価値観の制度の定義できる/自由主義の道徳性のモットーは「もしそれで気持ちが良いのならそうすればいい」だ/文化は精神的な寄生体で偶然現れ、それから感染した人全員を利用する/新しいことを可能にしてくれる理論こそが知識なのだ/経済全体が生き残り繁栄できるのは私たちが将来を信頼しているからに他ならない/幸福は客観的な条件、すなわち富や健康、さらにはコミュニティにさえもそれほどされないーむしろ客観的条件と主観的な期待との相関関係によって決まる2024/11/05
優希
52
文明は何故急激に進歩を遂げたのか。近代ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか。「帝国、科学、資本」の相互作用が答えであるシステムにつながっているのですね。帝国に支配された科学の発展から将来への確信が生まれたと言っても過言ではないでしょう。文明は幸福を生み出したのか、我々はどのような存在なのか考えさせられます。2023/12/15
そうにゃん
32
上巻を本棚の「銃・病原菌・鉄」の隣に収納し、下巻に取り掛かる。第4部科学革命で、「無知の発見」について論じられ「帝国」「資本主義」と結びつき、歴史が大きく展開するさまは好奇心を煽られた。途中P128に4行だけ日本のことが書かれ、他との比較をしながら論を分かり易く補強している。火薬発見から大砲開発までに600年、さらに熱を運動エネルギーにするまで3世紀経ている話やクック船長の話などが分かり易く腹落ちがいい。終盤の未来ことも興味が尽きない。一番の驚きは、著者が1976年生まれでジャレドの39歳年下であること。2024/03/14