内容説明
文明はなぜ爆発的な進歩を遂げ、近代ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか?その答えは「帝国、科学、資本」の相互に緊密につながったシステムである。帝国に支援された科学技術の発展にともなって、「未来は現在より豊かになる」という将来への信頼が生まれ、拡大する資本主義の魔法がもたらされた。文明は人類を幸福にしたのか、私たちはどのような存在なのか。記念碑的名著!
目次
第3部 人類の統一(宗教という超人間的秩序;歴史の必然と謎めいた選択)
第4部 科学革命(無知の発見と近代科学の成立;科学と帝国の融合;拡大するパイという資本主義のマジック;産業の推進力;国家と市場経済がもたらした世界平和;文明は人間を幸福にしたのか;超ホモ・サピエンスの時代へ)
著者等紹介
ハラリ,ユヴァル・ノア[ハラリ,ユヴァルノア] [Harari,Yuval Noah]
イスラエルの歴史学者、哲学者。1976年生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えるかたわら、2020年のダボス会議での基調講演をはじめ、『ニューヨーク・タイムズ』紙、『フィナンシャル・タイムズ』紙への寄稿など、世界中に向けて発信し続けけている
柴田裕之[シバタヤスシ]
翻訳家。早稲田大学・Earlham College卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
文明は何故急激に進歩を遂げたのか。近代ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか。「帝国、科学、資本」の相互作用が答えであるシステムにつながっているのですね。帝国に支配された科学の発展から将来への確信が生まれたと言っても過言ではないでしょう。文明は幸福を生み出したのか、我々はどのような存在なのか考えさせられます。2023/12/15
そうにゃん
29
上巻を本棚の「銃・病原菌・鉄」の隣に収納し、下巻に取り掛かる。第4部科学革命で、「無知の発見」について論じられ「帝国」「資本主義」と結びつき、歴史が大きく展開するさまは好奇心を煽られた。途中P128に4行だけ日本のことが書かれ、他との比較をしながら論を分かり易く補強している。火薬発見から大砲開発までに600年、さらに熱を運動エネルギーにするまで3世紀経ている話やクック船長の話などが分かり易く腹落ちがいい。終盤の未来ことも興味が尽きない。一番の驚きは、著者が1976年生まれでジャレドの39歳年下であること。2024/03/14
テツ
20
上巻に続いて。ぼくたちが霊長としてこの地上で繁栄するに至る過程。種として歩んできた道とこれから歩むであるであろう道について語りながら、個々が感じる「幸福」について思考は広がっていく。著者は決して現代社会や文明を全否定することはないけれど、それらが幸福度を向上させたのかという点については疑問を投げかける。確かに種として生存しやすくなる&死ににくくなるということは、別に個体の幸福とは直結しないのかもしれないな。ぼくたちは何を求め何処に至ろうとするのか。面白かったです。他に書かれたものも読んでみたい。2024/01/16
lily
17
想像力と虚構を生み出した認知革命、定住を促して貨幣・帝国・宗教という普遍的秩序をもたらした農業革命、自らの無知を認めることを前提に貪欲な帝国主義や資本主義にひた走るきっかけとなった科学革命。ホモ・サピエンスが霊長類として地球を支配するに至った過程がよく分かり、「目から鱗」の連続。いやー、面白かった。①自由主義や共産主義などのイデオロギーも広い意味で言えば宗教というのはハッとさせられた。②不死を求めた物語から、不死の研究をギルガメッシュ・プロジェクトという。③富は非生産的活動に、資本は生産に投資されるお金。2024/01/01
bapaksejahtera
15
上巻は人類の進化論的発展を認知革命、農業革命、帝国の成立に分けて意表を突くしかし納得できる論考だった。このヒトの生物的発達に対して、脳容積は勿論脳の機能も、以前のヒト種や同じヒト属の他種と比べて大きな変化はなかった理由について記述がない不満はあったがまずは満足した。下巻は当然上巻と共に一つの統一した思想が開陳されていると思うが、それにしては「科学革命」を謳うこの部分は7章の細かい区分で論じられ、中には興味深い論があるが、科学が生み出した「幸福論」など、観念的記述に満ちており、知的冒険が余り感ぜられなかった2024/04/17