河出文庫<br> こびとが打ち上げた小さなボール

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河出文庫
こびとが打ち上げた小さなボール

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  • サイズ 文庫判/ページ数 448p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309467849
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0197

内容説明

「生きることは戦争だった。そしてその戦争で、僕らは毎日、負けつづけた。」家屋が密集するスラムに暮らす「こびと」一家を、急速な都市開発の波が襲う。国家という暴力装置と戦う、蹴散らされた者たちのリリシズム。独裁体制下の過酷な時代に書かれ、その後韓国で三百刷を超えるロングセラーとなり、世代を超えて読み継がれる不朽の名作。

著者等紹介

チョセヒ[チョセヒ]
1942年、韓国・京畿道加平郡生まれ。ソラボル芸術大学(現・中央大学校)文芸創作科、慶煕大学国文科に学ぶ。65年、「京郷新聞」新春文芸欄に「帆柱のない葬船」が当選して作家デビュー。その後10年間の沈黙を経て、75年より「こびと」連作を発表し始める。78年、『こびとが打ち上げた小さなボール』を刊行。79年、同作で東仁文学賞受賞。2022年に逝去

斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ベル@bell-zou

32
"父さんの体が小さかったからといって、命の量まで少なかったわけがない。父さんは死ぬことによって、自分の体より大きかった苦痛から抜け出した。"。月の天文台で仕事をするいう大きな夢もその苦痛を和らげられなかった。他の誰かの嘆きや哀しみ、怒り。それらを踏み台にしながら無自覚でいるのは悪ではないが罪なのではないか。もしかしたら私自身も。ずっと読んでみたかった本。半世紀前とはいえ隣国のことと思えないほどの貧困と絶望的な格差が重苦しい。対して望みを託すような軽やかなタイトル。まさに"クラインのびん"。2023/07/17

ホシ

24
70年代の韓国。”こびと”は様々な仕事を渡り歩きながら「幸福洞(ヘンボクドン)」にあるスラム街に妻と3人の子供たちで暮らしていたが土地開発のために立ち退きを迫られることに。不遇の人生を甘受する”こびと”。そんな”こびと”を父に持つ長男のヨンスや”こびと”の家に入り浸っていたチソプは社会への抵抗をやめなかった。▽連作短編であることに加え、70年代の韓国の事情を知っていないと理解が難しいです。この国に滞在して長くなりますが、ちょっと分かりづらかった。まずは解説から読むことをおすすめします。2023/09/23

真琴

11
1970年代の軍事政権下での韓国が舞台。受験戦争、格差社会、汚職などがはびこる中、社会的な底辺にいる労働者や身障者は虐げられ搾取され人間的な扱いをされない。どこかの国の今の状況が頭をよぎった。(タイトルからファンタジーだと思って読んだら全然違った)2024/05/18

harumi

6
豊崎由美さんが紹介されていてさっそく読んでみた。韓国の小説やノンフィクションは何冊か読んでいるが、そのバックには日韓併合や朝鮮戦争、格差社会などが必ず潜んでいる。この小説は格差社会と障がい者差別に重きが置かれていると思った。格差社会は百済の時代に始まった奴隷制度が由来とあとがきに書かれているが、ユダヤ人差別や黒人差別についても長期間続くと差別感情を根本から取り除くのは非常に困難になるそうだ。ストーリーは救い様がなく読むのが辛くなる内容だが、「メビウスの輪」の話は全ての人に当てはまることだと思った。2024/04/19

チェアー

6
書いてある事は今、この国のことだ。きっと70年代に読んだ人は韓国の話だと思っただろう。だが、時間を経るごとに日本はここに書かれていることが現実のものとなる社会になってしまったのだ。 筆者はこの本が読まれなくなる日が来て欲しいと言っていたようだが、この本の示す切実さは年々増してきてしまっている。そう。しまっている。 2023/09/06

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