出版社内容情報
綺堂の名訳で贈る、古今東西の名作怪談短篇集。ホフマン「廃宅」、クラウフォード「上床」、モーパッサン「幽霊」、マクドナルド「鏡中の美女」他全十篇。『世界怪談名作集 下』の改題復刊。
著者情報
本名敬二。1872年、旧御家人を父として東京に生まれる。東京日日新聞に入社。記者の傍ら戯曲を書き、『修禅寺物語』『番町皿屋敷』等の名作を発表。捕物帳の嚆矢〈半七捕物帳〉で人気を博した。1939年死去。
内容説明
上質な日本語訳によって、これ以上ないほどの恐怖と想像力を掻き立てられる、魅惑の怪談集。「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者コナン・ドイルによる隠れた名作「北極星号の船長」や、埋葬の三日後に墓から這いだした男の苦悩と悲哀を描いた「ラザルス」などを収録。百年近く前に刊行されたとは到底思えない、永遠に読まれるべき名作集。
著者等紹介
岡本綺堂[オカモトキドウ]
1872年生れ。本名敬二。旧御家人を父として東京に生まれる。東京府中学校卒業後、東京日日新聞に入社。記者のかたわら戯曲を書き、『修禅寺物語』『番町皿屋敷』などの名作を発表。捕物帳の嚆矢“半七捕物帳”シリーズで人気を博した。1939年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
18
岡本綺堂氏翻訳の怪談集。ドイルから中国の牡丹灯籠原作まで。欧米の怪談集の中にちゃんと中国物も入れてらっしゃるのは、さすが漢籍にも詳しい綺堂氏。そんな中でストックトンの「幽霊の移転」が発想の奇想天外さが楽しかった。でも怪談なのかこれ? 幽霊が出てくるので一応怪談の部類なのかな。瞿宗吉の「牡丹燈記」は日本の「牡丹灯籠」のようなしっとり感を予想していましたが、もっと下世話な感じでした。幽霊が鞭で打たれたり血を流して苦しんだりするって、日本や欧米とは感覚ややっぱり違いますね。生者とほぼ変わらないんだなぁ。2023/02/27
春風
9
岡本綺堂の手による編訳『世界怪談名作集 下』の改題復刊。下巻へ入りようやく綺堂訳に慣れてきて、妙味を堪能できるように。上・下巻を通して読んで思うことは、綺堂のアンソロジストとしての腕の確かさ。『世界怪談名作集』という名に相応しい名作の数々が収録されている。「世界怪談」といえば英国のゴシック小説を想起するところであるが、SFチックな作品から怪談牡丹灯籠の粉本に至るまで網羅しており、綺堂の博覧ぶりも見てとれる。海外の作品を綺堂の文体に換骨奪胎した、唯一無二の怪談アンソロジーであった。2022/12/25
qoop
8
ホフマン〈廃宅〉のえも言われぬ不気味さであったり、フランス〈聖餐祭〉の最後の一段落の妙味であったり、モーパッサン〈幽霊〉の題材と著者のしっくりくることを再確認できたり。古典の面白みを改めて感じさせられる一冊。綺堂の著作はパブリックドメインとなっていたかと思うが、翻訳書も再刊されるなら嬉しい限りだ。2023/04/10
氷沼
4
初読だった、マクドナルド「鏡中の美女」が際立って良かった、切ない。 上下巻合わせ、名アンソロジーとしかいいようがない。 岡本綺堂の博識たるや...2024/01/14
もっち
2
こちらの収録作は初見揃い、そして(旧)上巻に勝るとも劣らぬ傑作揃い キップリング「幻の人力車」のなす術なく追い詰められる心情、アンドレーフ「ラザルス」の途方もない虚無とその果ての物寂しい美しさ、モーパッサン「幽霊」の単刀直入に突きつけてくるおそろしさ、辺りが特に好き ストックトン「幽霊の移転」は幽霊とは…ってなるやつで何食ったらこんな話を思いつくのか2023/09/12