出版社内容情報
ウラジーミル・ソローキン[ソローキン,ウラジーミル]
著・文・その他
松下 隆志[マツシタ タカシ]
翻訳
内容説明
帝国が復活した2028年のロシア。皇帝の親衛隊士たちは、犬の首と箒を装着した車に乗って、暴力の限りを尽くす。貴族や民衆からの強奪、謎の魚の集団トリップ、真実を見通す力をもつ天眼女、ちらつく中国の影、蒸し風呂の奇妙な儀式…怪作『青い脂』の著者が、ロシアの現在を予言したと称される傑作長篇。
著者等紹介
ソローキン,ウラジーミル[ソローキン,ウラジーミル] [Sorokin,Vladimir]
1955年ロシア生まれ。83年『行列』でデビュー。「現代文学のモンスター」と呼ばれる。2010年『氷』でゴーリキー賞受賞
松下隆志[マツシタタカシ]
1984年大阪生まれ。岩手大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
40
2006年の作品だが予言か預言か先見の明か。よく練り上げられ凝りに凝った作品から高い芸術性を感じ、表現の美しさに酔える作品。訳者の熱意も感じる。焚書のシーンは、既読の2068年を描いた「青い脂」が猥褻書として訴えられたことが脳裏をよぎる。...本の焚き火はあたたかい、赤の広場で国外パスポートを燃やした焚き火ときたら...。 。脂の意味は何となく伝わってくる。百歳より長く生きろ! 2028年を3年後に控えよりリアルさを感じる。今の日本が重なる。最後の芋虫は何を意味するのか...。単行本の解説も読んでみたい。2025/01/15
塩崎ツトム
28
「アメリカン・ドリーム」の対立項としての「ロシアの夢」というのは、まさにこの小説のような世界だろう。夢の中にいる時、ヒトは能動的に動きながら、実のところ運命の一直線の流れの中にいる。そこには荘厳さだけがあるが、道義や理屈はない。親衛隊士たちは皇帝の泰平の眠りのため(そして自分たちの快楽のため)サディスティックな拳を奮う。本書で語られない庶民や農奴たちは、彼らの惰眠のため、地に這いつくばって踏みつけられるが、所詮は夢の世界のNPCである。世界よ、これがロシアだ!2022/12/20
taku
18
復活した専制政治、誰が望む偉大なロシア? 強いロシアではなくても? 気をつけろ、権力を咥えた犬どもが来るぞ。陛下の敵は粛清あるのみ。クレイジーな空想か、それとも、雷帝の影はカタチを変えながら今も中核に落ちているのか。暴力と下品、様々なガジェット。陰鬱なリアリティと、たちの悪いユーモア。まだ2作目だけど、間違いなくソローキン。詳しく知らなくても、これはロシア。そう思わせる強度。権力は、支配は、かくも魅力的なのか。続編『砂糖のクレムリン』も邦訳お願い。えんやさぁぁぁぁ!!! えんやさぁぁぁぁ!!! 2023/12/22
ポテンヒット
11
圧倒的な暴力の世界。権力も一種の暴力。帝政期や近未来の要素が盛り込まれているが、これは紛れもなく現代のロシア。自尊心は高いがしている事は賄賂、違法ドラッグ、横領、殺人…それもこれも偉大なるお方と我らが祖国を護る為。そして自らの既得権益の為。著者はジョークの通じない彼らを命懸けで揶揄する。グロテスクで陰惨で滑稽なこの世界は今後どのように進むのだろう。2024/08/01
まこ
10
権力側で圧政を行う人の考え方ってこんなんか。自分のやってることに疑問を感じず忠実に任務を実行。陛下の義息が失脚したのに自分もそうなるかもとは全く思わない。薬や男性同士の性行為は自分達に与えれられた特権だと当然に考えてる。これが親衛隊士の日常。主人公の妄想かもしれない2023/12/28
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