出版社内容情報
かつて「恋」をした教師が性的虐待で訴えられ、ヴァネッサは記憶を辿りはじめる。暗い暴力と痛ましい回復をめぐる、衝撃作。
内容説明
「これはラブストーリーじゃないといけないの。そうじゃなかったら―」。未成年への虐待で訴えられたストレインのニュースはまたたく間に燃え広がり、ヴァネッサの心をも焼き尽くす。残酷な過去と向き合わざるを得なくなったとき、彼女の世界は足元から崩れてゆく…。「禁断の愛」の幻想に爆弾を落とし、世界を震撼させたベストセラー。
著者等紹介
ラッセル,ケイト・エリザベス[ラッセル,ケイトエリザベス] [Russell,Kate Elizabeth]
1984年、米国・メイン州生まれ。カンザス大学にてクリエイティブ・ライティングの博士号、インディアナ大学にて修士号を取得。2020年、デビュー作である『ダーク・ヴァネッサ』がベストセラーとなり、世界30カ国以上で翻訳される
中谷友紀子[ナカタニユキコ]
神奈川県生まれ。翻訳家。京都大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
99
上巻でヴァネッサとストレインとの情事は終わりを告げた。下巻ではヴァネッサが32歳になり、ストレインが自死した後に残る疑問を繰り返し自問する。”来ておくれ、賛美され、愛撫されるために/わが黒きヴァネッサ”ウラジミール・ナボコフ「青白い炎」を見せられた時の気持ちを、百万回は読んだ『ロリータ』に書き込まれたストレインの文を見て初めて夜を過ごしたあとに車で送ってもらった朝を思い出す。著者はこれがデビュー作。執筆に18年かかったとあった。『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』に比べ、小説ならではの良さを感じた。2023/02/17
たまきら
44
プロミシング・ヤング・ウーマンを見た時も痛かったけれど、ここまでずっと痛みが残る読後感も初めてです。教師から受けた虐待が、聡明な女性がその才能をフルに輝かせる場所を奪ってしまった。そして聡明であるがゆえに自分を必死で正当化しようとする彼女にただただ悲しくなり、告発を選んだ女性にも尻つぼみな記者にも親にも…。何が私のダークヴァネッサだ。そんな修飾も一人のプレデターの偏見なのに振り回され続ける主人公が…イタイ。辛い小説でした。2023/03/22
annzuhime
39
グルーミングのおぞましさ。少女に取り入り、信頼させ操る。洗脳されていくヴァネッサ。どうにかして抜け出して欲しいと思うが、15歳の少女に起きたことはあまりにも衝撃すぎる。これはラブストーリーじゃないといけない。あまりにも切実な願い。決して取り返すことのできない17年間。読後もずっと苦しくて仕方ない。2024/07/20
星落秋風五丈原
26
ホラーとかサスペンスではないですね。まだ若いころに大人の男の人に会ったらそうなっちゃうのかな。2022/12/14
Ayah Book
18
スティーブン・キングさんやギリアン・フリンさんが推薦しているという帯を見て期待したような物語ではなかった。正直に言うと、カリン・スローターさんのような物語を期待していたようだ。15歳の少女をグルーミングする教師は卑劣だが、とんでもないモンスターと言うほどではなく、そのへんに普通にいそうな人物だ。だからリアルなんだけど、悪の存在が余りにも曖昧だしバチが当たるわけでもないので、物語としてのドラマチックさには欠ける。もしこのヴァネッサが実在の人物だったら、頑張って立ち直ってほしいなとは思うが。2022/05/30