出版社内容情報
『指輪物語』『ドリトル先生物語』など名作の読み方や、「子どもの本の動物たち」「ピーターラビット再読」などを収めるエッセイ集。
内容説明
指輪物語、ピーターラビット、ドリトル先生物語、ゲド戦記から、ハリー・ポッターまで。ファンタジーや児童文学の名作・話題作を読み解きながらその本質を明らかに。「内なる荒野」「子どもの本の動物たち」「子どもはどうしてファンタジーを読みたがるのか」など、著者の慧眼と深い見識、フィクションへの信頼が感動をよぶエッセイ集。
目次
ファンタジーについて前提とされているいくつかのこと
内なる荒野
ピーターラビット再読
批評家たち、怪物たち、ファンタジーの紡ぎ手たち
子どもの本の動物たち
YA文学のヤングアダルト
メッセージについてのメッセージ
子どもはどうしてファンタジーを読みたがるのか
付録 『スーパーマウス』第1話
著者等紹介
ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.] [Le Guin,Ursula K.]
1929年、カリフォルニア州生まれ。62年のデビュー以来、斬新なSF・ファンタジー作品を次々に発表。ネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞など多くの受賞歴を誇り、「米国SF界の女王」と呼ばれる。著書に“ゲド戦記”や“西のはての年代記”シリーズ、『闇の左手』など多数。2018年没
谷垣暁美[タニガキアケミ]
1988年から翻訳に従事。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
兵士O
30
僕には二十代の特撮好きの青年が友人にいます。彼は僕がすき屋の牛丼はまずいと言うと、それは従業員に失礼だと言います。しかしグループラインの同年代の仲間のことはプーで今度精神科に入院したんだぜ、と平気で言います。また彼は特撮の正義の味方が悪の一味と戦う作品を僕たちに無理に観るように勧めているように見えます。それがこの本で作者が指摘している今の若者が安易に善悪の区分されたヒロイズムに浸っているように僕には思えます。しかし僕が今直面している問題はそういうことではなく、弱みを持った彼女と僕がどう生活するかなんです!2026/02/07
活字スキー
25
【未熟な人たちは、これは良い、これは悪いという確信を渇望し、要求します。このわかりにくい世の中で、彼らは自分が勝ち組にいると感じたいのです】多くの受賞歴を誇り、多くの創作家たちに多大な影響を与えたアーシュラ・K・ル=グウィンが晩年に自作や思い入れのあるファンタジーについて語ったエッセイ集。『Cheek by Jowl』という原題がうまく訳せなかったそうで、ちょっとタイトルから予想した内容とは違ったものの、偉大な作家にして読書家で評論家でもあった彼女の人柄、ファンタジーに対する思いなどが知れて良かった。2023/07/25
とも
24
ル=グウィンのエッセイ。最近のもののようで例えでプリウスが出てくる。ル=グウィンのハリー・ポッター評がある。ここだけでも読む価値あり。2025/11/05
コニコ@共楽
14
『ドリトル先生アフリカへ行く』を読むにあたって、ル=グウィンの「子どもの本の動物たち」を読む。ファンタジーという特定のジャンルに限らず、人間と動物の物語は数多く綴られてきた。ル=グウィンはヒトと動物に特別な境界線を引かずに動物には動物の言葉を翻訳する本を見出すことが大切だといっている。ディズニー映画で描かれている『バンビ』ではなく、原作の『バンビ』や『黒馬物語』を読んでみたくなった。彼女の書いている『空飛び猫』シリーズも気にかかる。メッセージありきのファンタジーではなく、物語にこそという彼女に力を感じる。2024/05/17
roughfractus02
12
ファンタジーは人類最古の文学形式だと著者が言う時、トーテミズム的なさまよいの物語が念頭にあるようだ。また、ファンタジーは子供の物語でも戦いの物語でもないとされる時、自己と対象、善と悪の対立を設けない関係と結び目からなる物語がモデルにある。それは関係しか語らない夢や動物のコミュニケーション構造に近い。政治や心理や神学の寓意を物語に読まないように警告するのも、多様な関係を固定させないためだろう。敵と対立を前提とした物語から離れたファンタジーは、狩猟採集社会以降発達を止めた脳の構造にフィットするのかもしれない。2024/01/31




