出版社内容情報
『指輪物語』を読み解く上で欠かせない遺稿を収めた必読の書。トゥーリンの悲劇、ガラドリエルの伝説、ヌメノールの物語等を収録。
内容説明
イシルドゥルの最期、騎馬の民ローハンの建国譚、ガンダルフが語る『ホビットの冒険』の隠された物語、アイゼンの浅瀬でのローハン軍とサルマン軍の攻防、謎の民ドルーアダンからパランティールの秘密に至るまで、トールキン世界の空白を埋める貴重な未発表文書集。巻末の索引も充実した、永久保存版。
著者等紹介
トールキン,J.R.R.[トールキン,J.R.R.] [Tolkien,J.R.R.]
1892年、南アフリカのブルームフォンテン生まれ。第一次世界大戦に従軍後、学究生活を開始し、世界的な言語学者となった。言語・神話への豊富な知識を生かして創造されたファンタジー『指輪物語』は世界中に熱狂的なファンを持つ。著書に『ホビットの冒険』、『シルマリルの物語』などがある。1973年永眠
トールキン,クリストファ[トールキン,クリストファ] [Tolkien,Christopher]
1924年生まれ。作家J・R・R・トールキンの息子。トールキンの死後、多くの作品の編者を務めた。2020年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泉のエクセリオン
12
本巻では中つ国第三紀の出来事であるイシルドゥルが斃れたあやめ野の凶事、青年王エオルと執政キリオンによるローハンとゴンドールの同盟の結成等が語られる。興味深かったのは、エルフと人間、最後の同盟の戦いでサウロンが倒された後、力の指輪を手に入れたイシルドゥルが指輪をわが物にするが、あやめ野でオークに強襲された際には、指輪を手に入れた事を後悔している事である。「あれに触れた時の苦痛が恐ろしい・・私の自尊心は打ち砕かれた」とあり、かなりイシルドゥルの印象が変わる話であるなと思った。2024/08/25
人間
12
上巻と同じく、「資料」である。指輪物語もホビットも詳細を忘れてしまったので、その関連の話はよく飲み込めない。興味深かったのはイスタリの記述。彼らはヴァラールがアマンの地より中つ国救援のために遣わしたマイアであると言える。マイアだけども肉体をまとうので、悩みや疲れを感じるので大変危険を伴う任務を負っている。船造りのキアダンから、ガンダルフ(ミスランディア)に火の指輪が託される。結局のところ、トールキン父さんが不完全にしていたところは、息子さんも補い切れるものではなく、どうしても謎は残る。2023/09/16
roughfractus02
10
エルフ(不死の種族)と人間(死ぬ種族)の間にあるヌーメノール族はエルフの不死を望み、サウロンに唆されて至福の地アマンに侵攻して国ごと大海に沈む。が、その中でエルフの友で節度を保った者たちがアルノールとゴンドールを築き、第3紀の指輪戦争で彼らが大きな役割を担う。本書は、『指輪物語』以前のアトランティスを思わせるこの島の没落の歴史から指輪に魅入られて死ぬイシルドゥルの心理の動きや物語で明示されないゴンドールとローハン、ガンダルフとサルマンの関係の記述を経て、原始の戦争の始まりにあるパランティールの逸話に至る。2025/05/19
広瀬研究会
10
第三紀に入って『指輪物語』の登場人物、とりわけガンダルフが出てくると途端に親しみやすくなる。やっぱりガンダルフ好きだなー。正直『指輪物語』の内容をうっすらとしか覚えてないから、この本に書かれた事のどこまでが本編にあって、どこからが裏話なのかわからない。これはまた本編を読まないとなあって思ってたら、3日後に改訂版が発売されるんだとか。パランティールで覗いているのか知らないが、おそろしく商売上手だ。2022/10/16
2兵
4
指輪保持者となったイシルドゥル最期の闘いを描いた『あやめ野の凶事』が、個人的にいちばん心に刺さった。イシルドゥルは原作や映画では、弱く、愚かで指輪のせいで堕落した哀れな存在であり、最期も自業自得であるかのようにしか描写されていなかった印象があった。だが、本書で明らかになったのは、指輪の魔力に苦しみながらも、今際のときまで武人としての誇りを捨てなかった、"人間"イシルドゥルの姿だったのだ。他も面白いが、どうしても物語というよりは論考であることを感じさせる。ガンダルフたちイスタリの由来を考察した章もあるが2025/02/13