出版社内容情報
最大の哲学者、ヘーゲルによる哲学史の決定的名著がついに文庫化。大河のように律動、変遷する哲学のドラマ、全4巻改訳決定版。
G・W・F・ヘーゲル[ヘーゲル,G W F]
長谷川 宏[ハセガワ ヒロシ]
1940年生まれ。東京大学卒業。著書「ヘーゲルの歴史意識」「格闘する理性」他。訳書フッサール「経験と判断」ハーバーマス「イデオロギーとしての科学と技術」他。
内容説明
自然とはなにか、人間とはなにか、いかに生きるべきか―哲学、そして人間精神の変遷、律動を描きだし、古代ギリシャから中世、そして近代へといたる、二千数百年におよぶ西洋哲学を一望する、哲学史上に輝く不朽の名著。『I』では「序論」「東洋の哲学」「ギリシャの哲学(第一篇第一章)」を収録。記念碑的名訳の決定版。
目次
序論(哲学史とはなにか;哲学と哲学以外の領域との関係;哲学史の時代区分、資料、論じかた)
東洋の哲学(中国の哲学;インドの哲学)
第1部 ギリシャの哲学(タレスからアリストテレスまで)
著者等紹介
ヘーゲル,G.W.F.[ヘーゲル,G.W.F.] [Hegel,Georg Wilhelm Friedrich]
1770‐1831年。ドイツ観念論を代表し、哲学、政治をはじめ、あらゆる分野で後世に絶大な影響を与えた
長谷川宏[ハセガワヒロシ]
1940年、島根県生まれ。哲学者。学習塾を開くかたわら、原書でヘーゲルを読む会を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
51
藤岡弘.がインタビューで訳の分からいことをしゃべることを知っているだろうか。「自己の精神が自己と向き合うことが自己自身にとって重要で…」とかいう感じなのだ。これは武道かも知れないが、少なくともヘーゲルを読むとそっくりなフレーズに出会う。「精神の行為は、己を知ることにある。私はありのままに存在はしていますが…精神として存在するのは、己を知る限りでのことです。」後半で古代史が語られる前に、本巻の前半で哲学史の意義が論じられる。ヘーゲル節が全開である。哲学史は単に歴史を辿るのではなく、概念を考察して深めることが2025/09/14
かわうそ
44
序論の所々に顔をのぞかせるヘーゲルの志に感動しました。『しかし実際は、わたしたちの現在は同時に歴史的なものです。もっと正確にいえば、思考の歴史において過去がその一側面をなすのと同様、わたしたちの現在においても、一貫して変わることのないものがわたしたちの過去と切り離しがたくむすびついています。わたしたちが近代世界において獲得した自覚的な理性にしても、現在という土壌から直接に生じたものではなく、本質的に過去の遺産なのであり、くわしくいえば、過去の全人類の労働の結果です。』28 無人島に持って行きたい本です2023/02/20
またの名
16
歴史哲学講義なんかより断然ヤバい。いわゆる哲学史の教科書がつまらない諸説の羅列に終始するわけを指摘し、「自分たちは真理とかいう次元を超えてるので過去の思想など外的で死んだ空虚な歴史的資料」と考えて研究にあたり紋切型のお世辞を贈る輩をメッタ切り。孔子やキケロらの人生訓も大して哲学的に価値がないと言い放ち、ところどころでぶっ込まれる独自の論理は、抽象的な真理など真理ではない、具体的なものは後になって現れるので最初に来る抽象概念は最も貧しいといった人を驚かすような意外な論理。ヘラクレイトスからの影響を自ら強調。2017/08/11
amanon
8
本論に入るまでの概論が読みごたえがあり、圧巻だが、実際に哲学史の説明に入ると、いささか退屈というのが正直なところ。個人的にギリシャ哲学が苦手というのも影響していると思うが。一応哲学科院のマスターを修了しているが、タレスから始まる幾多のギリシャ系哲学者の名前と思想の結びつきの知識が未だにあやふや。また、時代的な制約のため、ヘーゲルの解説がどこまで正確か?という問題もあると思うのだけれど、その辺りについての解説や注釈が一切ないのは問題だと思う。ただ、ヘーゲル自身の歴史観や思想が伺える箇所があるのは興味深いが。2020/05/01
Z
6
名著。今まで読んだ本で最良の哲学ならびにヘーゲル哲学への入門。イオニア自然哲学において、万物の根元という単一かつ普遍的なものの探求が行われたが、感覚、自然的なものに制限されており(ex水、火etc)、より抽象、思弁的なものを原理にすえたピタゴラス学派(数)、さらに思弁的な存在そのものを追求したパルメニデス、ゼノンが現れと、チャート式に哲学史をスパスパ整理。並びにこれらの整理を通して、ヘーゲルが過去の伝統を背負いつつ自己の思想を形成したことが読みとれる。この刊では所謂ソクラテス以前の哲学までを扱うが、精神現2019/09/26
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