出版社内容情報
繁栄を誇る17世紀オランダ。過熱するチューリップ・バブルに望みをかけた、豪商の若妻と貧乏画家の道ならぬ恋の行き着く先は――。
デボラ・モガー[モガー,デボラ]
著・文・その他
立石 光子[タテイシミツコ]
翻訳
内容説明
十七世紀、空前のチューリップ・バブルに沸くオランダ。球根一つが法外な高値で取引される街で、豪商の若妻と貧乏な画家は道ならぬ恋に落ちた。二人は自由を買うため過熱するチューリップ投機に全てを賭け、さらには妊娠した女中をも巻き込んだ“身代わり出産”を画策する…。フェルメールの絵画に着想を得て描かれ世界的ベストセラーとなった、愛と狂乱のサスペンス。
著者等紹介
モガー,デボラ[モガー,デボラ] [Moggach,Deborah]
1948年生まれ。現代イギリスを代表する女性作家、脚本家の一人。映画『プライドと偏見』の脚本家として、英国BAFTアカデミー賞にノミネート
立石光子[タテイシミツコ]
大阪外国語大学英語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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優希
55
チューリップ・バブルの時代、道ならぬ恋に落ちたというのがフェルメールの絵画と重なります。自由のためにチューリップに全てを賭ける姿が不倫でありながら美しく見えました。バブルの熱と恋の熱が絡み合い、狂乱の世界が広がっています。2020/10/27
to boy
31
黄金の世紀と呼ばれた17世紀のオランダを舞台に、若く美しい後妻と画家との不倫を縦糸にして語られるフェルメールの世界。女中のマリアのしたたかな視線も主人のコルネリスの世界観の変化も面白く身近な感じで読めた。当時のオランダでの画家たちの身分の価値やら商人たちの熱狂ぶりやらがよく分かった。映像化されているとの事なのでぜひとも見てみたいものです。2018/11/20
紅香
31
フェルメールに触発されて生まれた作品とあって随所にフェルメールを感じる。映画はまさにフェルメールの世界だった。この世に37点しかない謎めいた彼の作品。この小説を通して繋がったような思いがする。『絵を描くことは所有することである』『じつを言えば芸術は嘘をつく』フェルメールとデボラが所有したかったもの、または嘘。光と闇。絵はその秘密を他言せず永遠に生きる。その時々の見るものの思いもただ吸い寄せて沈黙を守る。まるで共犯者。芸術は妖しいと初めて思い至った。小説と映画。私は映画のストーリーの方が救われるようで好き。2018/10/17
ミルキー☆
17
17世紀オランダで起きたチューリップ・バブル。希少価値の高いチューリップ球根の価格が高騰して投機の対象となった。このダイナミックで狂騒的な時代背景と呼吸を合わせるかのように、幾人もの登場人物たちが絡み合って運命を翻弄される。バブルの狂騒と、冷静な判断ができなくなる恋の熱狂。熱(fever)に狂わされ人生を踏み外していく彼らの悲劇は、仮想通貨や株投資に熱をあげる現代の私たちにも通じる。女性のしたたかさ、人間の欲望が引き起こすバブルの熱狂にたじろぎながらも、私もその“熱”に浮かされて読みきった。2019/02/10
鳩羽
13
豊かな商人コルネリウスの妻ソフィアは、貞淑に妻としての務めを果たしていた。画家のヤンが肖像画を描きに訪れるまでは。禁じられた恋に次第にのめり込んでいくソフィアとヤンは、後戻りできなくなり、女中マリアの予期せぬ妊娠を巻き込み、チューリップの球根の投機でお金を作り、外国に逃げようとする。…ソフィア、ヤン、マリア、コルネリウスらの視点で描かれる、断片的な群像劇。悲喜劇と笑うには良心的すぎる登場人物達で、ひとときの熱に冒されなくてなんの人生だと思えすらした。2019/04/20
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