出版社内容情報
最重要テクストを精選、鏤骨の新訳による究極のアンソロジー。極限的にして苛烈な問いが生み出す美しくきびしい生と思考の結晶。
シモーヌ・ヴェイユ[ヴェイユ,S]
著・文・その他
今村 純子[イマムラジュンコ]
編集
内容説明
「不幸になるかもしれないということを愛さなければならない」―世界の苦悩が深まるごとにその重要性が高まる思想家の最重要テクスト七篇を気鋭が精選、鏤骨の新訳でよみがえらせて、その核心と全貌を一冊に凝縮した究極のアンソロジー。善と美、力、労働、神、不幸、そして非人格的なものをめぐる極限的にして苛烈な問いが生み出す美しくきびしい生と思考の結晶。
目次
『グリム童話』における六羽の白鳥の物語
美と善
工場生活の経験
『イーリアス』、あるいは力の詩篇
奴隷的でない労働の第一条件
神への愛と不幸
人格と聖なるもの
著者等紹介
ヴェイユ,シモーヌ[ヴェイユ,シモーヌ] [Weil,Simone]
1909‐43。激動の時代を34年の生を通して駆け抜けたユダヤ系女性フランス人哲学者。歴史・社会を見据え、哲学に詩学の光を差し込む論考多数
今村純子[イマムラジュンコ]
東京生まれ。哲学/芸術批評。京都大学大学院博士後期課程修了。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
26
ぼくは無宗教者であり無神論者である。だがヴェイユがいう神という言葉に惹かれる。なぜだろう。 読友がシモーヌ・ヴェイユに触れていた。懐かしく思い読んでみた。『重力と恩寵』の感動が再び蘇る。 工学畑のぼくが哲学を好むようになったのは、シモーヌ・ヴェイユに惹かれることが大きかったからに違いない。 重力に逆らうことはできない。それならば重力に服従する生き方を発見するしかない。 しかしヴェイユは流されていくような生き方を選ばない。 だからだろう。シモーヌ・ヴェイユを初めて読んだとき不器用にすら思えたものだ。2022/06/22
松本直哉
24
欧州が戦場と化すなかで書かれたイーリアス論に心震える。戦争を支配するのは〈力〉であり、そのもとでは勝者も敗者も同じように悲惨で、勝者は同時に敗者でもある。ギリシャ人の手になるにもかかわらず、イーリアスでは、敵味方の区別なく、死にゆく者は驚くべき平等性(équité)で悼まれる。ここからアンティゴネーへの距離はわずかである。敵味方を峻別するクレオンの考えこそが、さらなる分断と悲劇をもたらす。敵であっても手厚く葬るアンティゴネーの常軌を逸した愛だけが、勝者と敗者の区別を溶解させ、両者を兄弟として和解させる2024/04/25
LUNE MER
16
購入しての再読。初読時の自分のレビューを読み返しても自分で何を言ってるのかさっぱり分からない(この時の自分は別人じゃないか?くらい他人に感じる)。初読時よりも頭に入ってこなくて、理解度がさらに低下しているように感じる。やはり今回も時期ではなかったのかも。もしかしたらそもそもシモーヌに拒絶されてる??2022/10/05
baboocon
15
ようやく読み終えた。が、頭に入ってきたとは言い難い。「グリム童話」における六羽の白鳥の物語、美と善、工場生活の経験、「イーリアス」、あるいは力の詩篇、奴隷的でない労働の第一条件、神への愛と不幸、人格と聖なるもの、の7編の論文集。不幸の認識についてのくだりや、美なくして、わたしたちは真理と正義に触れえないという点は妙に心に残った。2023/06/26
おおた
15
『重力と恩寵』から見逃すことはできないと悟ったシモーヌ・ヴェイユの入門編としてふさわしい本書について、気になったところを書きました。そのうち付け足すかも。 http://www.uporeke.com/book/?p=31912018/09/02