出版社内容情報
天才的犯罪者リプリーが若き日に殺した男ディッキーの名を名乗る者から電話が来た。過去が暴かれようとしていた…リプリーの物語、最
パトリシア・ハイスミス[ハイスミス,P]
著・文・その他
佐宗 鈴夫[サソウ スズオ]
翻訳
内容説明
天才的犯罪者トム・リプリーが若き日に殺した男、ディッキー・グリーンリーフの名を名乗る者から電話が来た。これは最近引っ越してきた妙なアメリカ人、プリチャード夫妻の仕業か。だが、何のために?敵の正体が見えないままに、トムの過去が暴かれようとしていた…トム・リプリーの物語、最終編。
著者等紹介
ハイスミス,パトリシア[ハイスミス,パトリシア] [Highsmith,Patricia]
1921年、テキサス州生まれ。45年に「ヒロイン」が雑誌掲載され作家デビュー。『太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞、『殺意の迷宮』で英国推理作家協会(CWA)賞を受賞。サスペンスの巨匠として多くの作品を発表。生涯の大半をヨーロッパで過ごした。1995年、没
佐宗鈴夫[サソウスズオ]
1940年、静岡県生まれ。翻訳家。早稲田大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
36
「そして二人はいつまでも幸せに暮らしました」は悪党に苦しめられた善人に許された結末だ。例外中の例外トム・リプリーは、殺人も犯罪も犯しながら妻と「幸せに暮らして」いる。内容的には『贋作』に続く。リプリーに、死んだはずのディッキーを名乗る電話がかかってくる。早いうちに犯人の見当もつける。「本物を超える偽物がある」ことを仕事と人生で実践している彼は、もう一つの真実―犯罪―を、悉く水底に沈める。もちろん簡単には浮かび上がってこないが、いつか水が干上がる時が来る。その時彼がもう一つの真実とどう向き合うのか。 2018/07/31
阿部義彦
20
「太陽がいっぱい」から始まったリプリーシリーズこの5作目で最終章となりました。サイコパスの様な夫婦に付きまとわれ第二作「贋作」で殺して川に沈めた死体をなんと発見されてしまい、、あとは読んでの楽しみです、とにかく人間の嫌らしさがこれでもか!とばかりに書けています。いやだいやだと思いつつページをめくる手が止まらない、もっと他の長編も読みたいです、河出書房新社さん他のも新版で出してくれませんかねえ?期待してます。2018/10/09
りふりヴ
4
最後に立ちはだかるのは陰湿な嫌がらせをするのが生きがいという不愉快極まりない人物 リプリーという人間社会に溶け込むサイコパスとの対決は面白い リプリーシリーズがこれで最後なのは残念 その優雅な暮らしと罪悪感の無さ、決断力の速さには惹かれてしまうものがあるんだよなあ そのくせロブスターが生きたまま茹でられるのは直視できないというね2023/08/06
Kiki
2
リプリーシリーズ、これにて完読。彼のモラリティにハマれば愉快に読める。特にこの五作目は、他の殺人と違って原点に近い印象を持った。二作目と四作目は誰かを守るために実行して、三作目は相手がマフィアということが正当化の理由になっている。今回はエロイーズ含めベロンブルでの生活を守る目的はあるものの、一作目同様、トムのための殺人だった。終わりもリプリーらしいというか、いつもギリギリのところでどうにかなってしまう、逃げ切ってしまう形でアッサリとしていて、とても良い読書体験だった。2024/08/22
ヤボ
2
★★★☆☆「贋作」が面白かったので、シリーズの順番を飛ばして年末年始に一気読み。 いつもながら、最後は「え、ここで終わり!?」なのだが、そこがまた良いのかも。 今回気になったのはリプリーの妻エロイーズ。怪しい過去があることを知りながら平然と一緒に暮らしているエロイーズ。リプリー以上にアモラルなのかも。 久しぶりに、もっと続きが読みたい!と思うシリーズだ。 取り合えず、次は「アメリカの友人」だ。2021/01/02