河出文庫<br> デカメロン〈下〉

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河出文庫
デカメロン〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 560p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309464442
  • NDC分類 973
  • Cコード C0198

出版社内容情報

「百の物語には生命力がみなぎり、読者の五感を楽しませ、一つとして退屈な話はない」(解説より)。大古典の全訳決定版、完結編。

ボッカッチョ[ボッカッチョ]
1313年イタリア生まれ。ルネサンス期を代表する文学者。著書に『フィローコロ』『フィアンメッタ夫人の哀歌』『コルバッチョ』など。

平川 祐弘[ヒラカワ スケヒロ]
1931年、東京生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。著書に、『和魂洋才の系譜』『ダンテ「神曲」講義』他。訳書に、ダンテ『神曲』『新生』、ボッカッチョ『デカメロン』、小泉八雲『骨董・怪談』他。

内容説明

王、商人、僧侶、騎士、貧者、貞淑な人妻に奔放な貴婦人。多彩な人物たちが繰り広げる物語を語り続けたこの宴、そろそろお開きかと存じます…世界文学史上不滅の古典、全訳決定版、完結。

著者等紹介

ボッカッチョ,ジョヴァンニ[ボッカッチョ,ジョヴァンニ] [Boccaccio,Giovanni]
1313年、イタリア、トスカーナ生まれ。ルネサンス期を代表する作家、人文学者。代表作に、物語文学の最高傑作といわれる『デカメロン』。晩年には若い頃より心酔していたダンテの『神曲』講義も行なう。1375年没

平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年、東京生まれ。東京大学名誉教授(比較文学比較文化)。『東の橋 西のオレンジ』でサントリー学芸賞受賞、『ラフカディオ・ハーン』で和辻哲郎文化賞受賞、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞・日本翻訳出版文化賞受賞。紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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やいっち

89
本作には、艶笑小説とか宮廷小説とか、いろんなレッテルが貼られてきたという。そういう面は確かにある。王様や貴族、お姫様が登場する。14世紀という時代に、女性らが時に自由闊達に振る舞い、夫には夫らしい扱いを要求する。夜の義務を果たせないなら、妻は勝手に楽しむわよ。ボッカッチョの宗教家、僧の欺瞞に対する怒りが随所に炸裂するのも面白い。ペストが大流行する中、宗教者も王様も為す術もないのだ。肝心な時に無力無能な奴らの権威が一気に崩れる。社会の基盤が根底から崩れ、あるいはルネサンスの胎動へもつながったのだろうか。2020/11/17

ベイス

55
淡々と十日目まで進み、そろそろ世間体も気になるからと解散して終わった。10人の中にはカップルがいるようだが、それぞれの個性が際立つこともなく、やや拍子抜け。カランドリーノという「知恵おくれ」を、周囲の人たちがよってたかってコケにする話が何話もあり、ご婦人方がそろってあざ笑うというのは、さすがに悪趣味すぎて辟易とした。訳者はしきりに教条的なキリスト教的価値観と対比させることでこの作品を賛美するが、性的奔放さはともかく、この「イジメ」については言及がなく、スルーするのはいかがなものかと後味が悪かった。2021/10/19

コニコ@共楽

32
ついに『デカメロン』、完読。コロナ禍に読み始めて4か月、読書会でも取り上げて一話一話読み続けた100話のデカメロン。お話の中では15日間の出来事でした。幸いなことに今は日本はパンデミックが落ち着いています。中世のイタリアでのお話が身近な人々の暮らしの噂話のようで、週刊誌を読むように、翻訳者平川氏が曰く”猥雑な生命力”を楽しみました。10日目のお話は、少々長めの話が多く、ボッカッチョも最後を飾る話には力は入ったのではと推察します。10日目9話のサラディンの話が寛容を思わせて一番好きでした。2021/11/22

コジ

27
★★★★☆ なかなかのボリュームとそれに負けじと濃厚な解説に気圧されつつ、ようやく読了までこぎつけた一日十話、十日で百話の物語。上巻では艶笑な印象を持ったものの中下巻はそれも薄れ、風刺や猥談をギリギリの線で上品にやってのける、かなり計算された作品だった。最後はもう終わって仕舞うのかと思うほどに面白かった。ただし、この慇懃な文体、度々見慣れない言葉出くわしその度、読みや意味を調べの繰り返しもまた読了を遅らせた要因。コレはこれで、ある意味日本語の勉強になった。2018/08/01

アドソ

20
元祖・自粛文学(?)。ただの猥談ではなーい、と訳者は言うけれど、やはりこの物語の面白さの第一義は猥雑さにあるだろう。イタリアはオープンなイメージがあるけれど、それでも当時は眉を顰める向きもあったらしく、ボッカッチョが一生懸命言い訳をしている。中には胸糞な話もあるけれど、まあ昔も物語に厭な刺激を求めるという嗜好はあったのかもしれない。注釈や解説ではダンテばかりでなく西鶴や源氏物語との比較も。洋の東西で翻案や偶然の一致などもあって、さながら「世界の文学におけるデカメロン」が語られている。2020/07/29

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