出版社内容情報
ドゥルーズ没後20年を期して『無人島』『狂人の二つの体制』から重要テクストをテーマ別に編んだ独自アンソロジー刊行開始。
【著者紹介】
1925年パリ生まれの哲学者。1995年、自ら死を選ぶ。スピノザやニーチェの研究を通じ西欧哲学の伝統を継承しつつその批判者となる。主著ーF・ガタリと共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』他。
内容説明
ドゥルーズの未収録論考などを集成した『無人島』『狂人の二つの体制』から重要テクストをテーマ別に編んだドゥルーズ没後二十年記念オリジナル・アンソロジー。Iにはドゥルーズの思考の軌跡と哲学者たちをめぐるテクスト群を収録。ますます輝きをますその哲学の魅力を開示する。
目次
発想の軌跡(無人島の原因と理由;セリー・ノワールの哲学;ドラマ化の方法;何を構造主義として認めるか ほか)
哲学者たち(ベルクソン、1859‐1941;ベルクソンにおける差異の概念;カフカ、セリーヌ、ポンジュの先駆者、ジャン=ジャック・ルソー;「彼は私の師だった」 ほか)
著者等紹介
ドゥルーズ,ジル[ドゥルーズ,ジル] [Deleuze,Gilles]
1925‐1995。著書『差異と反復』『意味の論理学』、ガタリとの共著に『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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またの名
15
物事はそれを各々の関係比率にしたがって現実化させる潜在的な理念から発生してくると考えて、生物、物理、経済、歴史、精神医学、数学、文学、哲学…の領域に共通して潜む構造を抽出した前期ドゥルーズ。主語を入れ換えても何にでも当てはまる大雑把な一般観念を退けて他の物には適用できないほど個別の対象を精確な概念で捉えるべきと説くベルクソンを読み直す手つきは、まさに有言実行なので数百字では説明不能。ガタリと組んで政治化するにつれて大雑把になるとはいえ、その後もニーチェの使用法など書物に対しとにかく長けたままでいた哲学者。2017/01/27
Bartleby
13
「哲学における概念は上等な推理小説のなかに出てくるように紹介されるべきです」。アンソロジー1冊目の本巻では他の哲学者について論じられた文章が多く収められている。補助線が一本引かれるだけで対象がこれまでとは違う新鮮なものとして立ち現れてくる、そんなスリリングな体験を一篇ごとに味わうことができた。ちょっとした言い回しもなかなかかっこよくて、彼の本の読者が多い理由が少し理解できた気がする。2015/05/31
Z
12
出来事の反復=パロディは何をもたらすか?類似性(類、あるいは同一)と差異の発見を。ここで理念(イデア)について。プラトンの問いの方法は「〰️とは何か」であった。「何が美しいのか」ではなく「美とは何か」のちヘーゲルとライプニッツが「何か」タイプの問いの解法を別様に築いた。弁証法において何かは何かでないものとの対立ののち自己の性質を明らかにする(過去の辛い体験が今の自己を作る)。ここでは生成したaに否aが積極的に関わる。ライプニッツの可能世界においては織田信長が本能寺の変で殺されなかった世界など多様な生活にa2018/02/18
ゆったま
3
どれも美しい小品の数々で、いずれもがドゥルーズの哲学のあれこれを上手に解きほぐしてくれている。あ、例のあの概念はこんな文脈で把握される話だったのか、あれはこういったシーンで使われる概念だったのかとうまく答え合わせが出来た様な感がある。 小品集の素晴らしいところは何度でも読み返せるところにある。まるで詩の様なその節回しや繰り返し、跳躍は、何度となく読み返すことでいつもその相貌を変えてくる。そしてその全てがその真の姿であり、一見矛盾するかのような見方でも、2024/05/22
F83
3
「哲子の部屋」を見て初めてドゥルーズを知り本書を手にした。初読ということもあって人見知りの僕は親しめなく、一度諦めてさらさらと読み終えた。そして二回目読んでいる途中、松岡正剛氏の「千夜千冊」の第1082夜でドゥルーズとガタリの共著「アンチ・オイディプス」について書かれている文章を読んで、やっぱりドゥルーズは凄いなと思わされて、なんとか読み終えることが出来た。全体としてはなかなか理解することが出来なかったが、彼の哲学的思考には今まで自分が持っていた概念を何度も覆された。彼の他の著にも齧りついてみたい。2015/05/21