出版社内容情報
セイレーン、八岐大蛇、一角獣、竜といった想像上の生き物や、古今東西の文学作品に登場する不思議な存在をめぐる120のエッセイ。
【著者紹介】
1899年アルゼンチン生まれ。詩人・作家・批評家。古今東西の幅広い書物に親しむ博覧強記のアンソロジストでもある。おもな著書に『伝奇集』『ブロディーの報告書』『砂の本』『七つの夜』など。
内容説明
一角獣、セイレーン、ゴーレム、八岐大蛇…。豊かな想像力が産みだした奇妙な存在たちを、知の怪物ボルヘスが集成した最良の異世界案内本。「イーリアス」「オデュッセイア」から、プリニウス「博物誌」、「千夜一夜物語」、ダンテ「神曲」、カフカ、C・S・ルイス等の著作まで、古今東西・森羅万象120項目を収載。
目次
足萎えのウーフニック
ア・バオ・ア・クゥー
アブトゥーとアネット
ある雑種
安南の虎
イクテュオケンタウロス
一角獣
ヴァルキューレ
ウロボロス
エルフ〔ほか〕
著者等紹介
ボルヘス,ホルヘ・ルイス[ボルヘス,ホルヘルイス] [Borges,Jorge Luis]
1899‐1986年。詩人・小説家。アルゼンチン生まれ。幼少から古今東西の書物に親しむ。「鏡」「迷宮」といったモチーフを主とする詩や小説のほか、独自の視点で編んだアンソロジーも数多い
柳瀬尚紀[ヤナセナオキ]
1943年根室市生まれ。英文学者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
85
凡百の幻獣辞典とは違ってボルヘスはその出典、原典を明らかにして客観的な立場を崩すことがない。しかしそのなかにあってカフカやポーといった作家の創作した幻獣をも同列に扱うのは、やがてこれらも不可思議の領域に数えられることの予言としてあるのか?想像上の動物の同等性をこそ示すものであるものか?甚だ興味深いところではある(ΦωΦ)2016/02/01
絹恵
42
ギリシャ神話や北欧神話などで耳にしたことのある想像上の生き物が五十音順に並びます。古今東西、そして異世界へと連れて行ってくれました。これらの生き物について知らなくても困ることはないかもしれないけれど、私は知りたいと思い、知ることで得られるこのけだるい喜びが、これからの読書をより豊かなものにしてくれると思います。2015/06/07
Koichiro Minematsu
38
不思議の国のアリスに出てくるチェシャ猫の事が知りたくて読んだ。 ファンタジー小説を読むには予習の書です。2024/10/01
花乃雪音
32
ボルヘスが伝承や作家の創作した獣から選出した幻獣を五十音順に並べた辞典。一項目あたり数ページと短いこと、筆者の知識の幅広さ、プリニウスが度々取り上げられていたことから澁澤龍彦の本を読んでいる時の感覚におそわれた。一角獣(ユニコーン)に対する中国の一角獣が麒麟であったり、八岐大蛇を「高志の八岐大蛇」と表記していたり思いもよらない文章に出くわすことができた。八岐大蛇といえば出雲だと思っていたので調べてみたら高志(越)の国から出雲へ行き退治されたことを初めて知りました。2019/05/05
TSUBASA
31
ウロボロス、キマイラ、セイレーン、ケルベロス、ケンタウロス、ゴーレム、ナーガ、バハムート、八岐大蛇に至るまで古今東西の想像上の生き物や、カフカ、ポオといった作家が作り出した動物たちを紹介する。これだけ様々な幻の動物をみると人間の想像力の広さを改めて実感しますね。それと同時に、ゲームなんかでなじみ深い名前が多数出てきて、「そんな由来があったのか」と舌を巻くばかり。とんでもない博覧強記な著者によるものなので紹介なんて生易しい物ではないけど、幻獣の出典を調べようと思ったらかなり充実している。2016/04/09