内容説明
生きるか死ぬかの極限状況で、肉体的な「人間の限界」を著者自身も体を張って果敢に調べ抜いた驚異の生理学。人間はどのくらい高く登れるのか、どのくらい深く潜れるのか、暑さと寒さ、速さの限界は?果ては宇宙まで、生命の生存限界まで、徹底的に極限世界を科学したベストセラー。
目次
第1章 どのくらい高く登れるのか
第2章 どのくらい深く潜れるのか
第3章 どのくらいの暑さに耐えられるのか
第4章 どのくらいの寒さに耐えられるのか
第5章 どのくらい速く走れるのか
第6章 宇宙では生きていけるのか
第7章 生命はどこまで耐えられるのか
著者等紹介
アッシュクロフト,フランセス[アッシュクロフト,フランセス][Ashcroft,Frances]
1952年、イギリス生まれ。オックスフォード大学の生理学部教授で、インシュリンの分泌に関する第一人者。1999年よりロイヤル・ソサエティーのフェロー。細胞膜のイオンチャネルをモチーフに芸術家と美術展を開催するなど研究室の外でも精力的に活躍
矢羽野薫[ヤハノカオル]
1969年生まれ。慶応大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
53
高さ、深さ、暑さ、寒さなど極限状態で人間がどこまで生きることができるのかを体のメカニズムを解説しつつ、限界に迫る。科学的な根拠に基づいて考察するので、やや難解な部分はあるものの、割り切れば純粋な読み物として楽しむことができる。ただ学ぼうとすると難しくて、途中で嫌になりそう。最後は極限状態で生存する生命にも触れ、私は最後まで楽しめた。2022/10/01
びす男
53
死に際の「走馬燈」は、生き残るための手がかりを脳が探している現象らしい。真偽はさだかでないが■この本の内容を、いつか土壇場で思い出すのだろうか。高山や深海、高低温、宇宙といった特殊環境に人間はどう耐えるのかを、生理学の専門家が解説している■血液や肺、脳といった器官が外部条件にどう反応するか。仔細な解説と、血液の気泡や「窒素酔い」など、初耳となる現象の数々が興味深い■飛行機の窓が割れたら30秒で気を失う。冷たい海に放り出されたら、泳がない方がいい――。できれば無縁でありたい知識だが、読んで得した気にもなる。2021/08/12
ビブリッサ
53
可愛い装丁なのでフラっと読んだら、結構ボリューミーでしっかりした内容に引き込まれてしまいました。特に高さと寒さの限界の項が私にとっては興味深かったです。極限の地・状況で生命維持のため神がかり的な仕組みで乗り切ろうとする人間の身体。細胞レベルでのエマージェンシーへの対処に、自分の身体に備わっているものとはいえ、なぜか感謝と尊敬を感じてしまいます。そんなに凄いのね、私、、、お酒を過ごすこと、時々。ケアを怠ること、しばしば。動けるうちは大事にメンテして動いておこうと思える読後感です。2017/03/09
ntahima
51
酷暑の頃、エアコンのない灼熱部屋で、些か自虐的な気分で第3章の“どのくらいの暑さに耐えられるのか”から読み始める。一応の目的を果たした後は読んでは積み、積んでは読みで随分時間がかかった。1~4章で高山病、潜水病、熱射病、凍傷などの生理メカニズムが説明されており興味深い。第5章“人間はどのくらい速く走れるのか”ではM・グリーンの当時世界記録100m9秒79が紹介されているが、具体的な限界数値については記されていない。9秒60なんて予言しなくて良かったね。最後の第6章及び7章は宇宙に関して。宇宙は私の大好物!2012/09/04
zirou1984
45
標高や深海、暑さや寒さ、果ては無重力空間といった極限状態に人体はどこまで耐えられるのかを科学的に明らかにする生理学一般書。様々な歴史的事例や身を張って実験した科学者たちの研究結果の数々を追っていくだけでも面白く、昔の潜水服のへっぽこ具合には思わず笑ってしまった。また、人類の速度の限界についての章で扱われるドーピングの歴史は興味深いものがあった。こういった決して必要な知識ではないけど、日常の中で抱く疑問を丁寧に掘り下げていく内容の本はちょっとした時間の合間に読み進められるしとても楽しい。2015/08/15