内容説明
「いつの日か、世紀はドゥルーズのものとなるだろう」とフーコーをいわしめたドゥルーズの主著にして代表作。ニーチェ、ベルクソン、スピノザらとともに、差異を同一性から解き放ち、反復を“理念”の力=累乗の特異性として発見する時、新たな生と思考がはじまる。かぎりない力をひめた怪物的な書物。
目次
序論 反復と差異(反復と一般性―行動の視点からする第一の区別;一般性の二つのレヴェル―類似と等しさ ほか)
第1章 それ自身における差異(差異と暗い背景;差異を表象=再現前化するということは必要なのだろうか―表象=再現前化の四つのアスペクト(四重の根) ほか)
第2章 それ自身へ向かう反復(反復、それは、何かが変えられること;時間の第一の総合―生ける現在 ほか)
第3章 思考のイマージュ(哲学における前提の問題;第一の公準―普遍的本性タル“思考”の原理 ほか)
著者等紹介
ドゥルーズ,ジル[ドゥルーズ,ジル][Deleuze,Gilles]
1925年生まれ。哲学者。1995年、自ら死を選ぶ
財津理[ザイツオサム]
1947年生まれ。思想研究家(現在、法政大学教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koke
13
ただでさえ難解なのに、諸事情により長く中断してしまったせいでなおさら苦戦した。既存の哲学が前提してしまっている点を全てひっくり返そうという野心的な著作。差異それ自体、即時存在としての差異を考えることでそれは成し遂げられるとのことだが、なぜそんな不思議なことを思いついたのだろうなあ。2023/02/19
メルキド出版
7
「デカルト的コギトとカント的コギト、未規定なもの、規定作用、規定されうるもの」「ひび割れた《私》、受動的な自我、そして時間の空虚な形式」2020/03/28
wadaya
7
これまで読んだ本の中で最も難解だった。先づはドゥルーズ的思考「微分的」について。世の得体の知れない事象を関数y=f(x)とする。yは従属変数でxは独立変数である。反復とは1+1ではなく累乗的である。つまり関数のグラフは曲線になる。事象は瞬間の集合体であり曲線を微分dy/dxすることによって求められる。微分とは曲線を傾きが無い直線にまで細分化することである。それはほぼ瞬間という点になる。1ピクセルと化した直線の傾きをドゥルーズは「強度」と呼ぶ。この傾きが大きい程、差異が大きいということになる。(下巻に続く)2018/01/06
記憶喪失した男
7
1968年ドゥルーズ「差異と反復」。哲学書の読書量はすごい。2017/10/04
Bevel
7
ヘーゲルの一般化普遍化を目的とする抽象ではなく、内的差異と連続できる、ライプニッツの微分的な比による抽象によってこそ、表象を脱根拠化できる。さらに、潜在性から権利上想定される時間概念は、今まで身体に器官があったことを無視するような直線的な第三の時間において壊されて、差異は記憶とともにまったき反復をする。そして、部分対象性による欠如からくる潜在性の超越論的表現であるシーニュは、シミュラークルとして、仮面として、現実的なものとは区別がつかない、とまとめてみた。2011/04/06