内容説明
飢饉やドイツ人傭兵隊の侵入で、荒廃をきわめるミラーノ領内。通りには悲惨が絶えず往来し、苦痛が棲みついて離れようとしない。非力な老人や女性や子供たちは、衰弱し、疲れ果て、見捨てられ…そして恐ろしいペストの蔓延。恐怖と迷信と狂気。物語は、あらゆる邪悪のはびこる市中の混乱をまざまざと描きながら、一気に感動的なラストへと突き進む。イタリアを代表する歴史小説の大傑作、完結編。
目次
ミラーノ領内における飢饉と戦乱。ドイツ人傭兵隊の侵入。
ドイツ人傭兵隊の侵入にともない、アッボンディオ司祭、ペルペートゥア、アニェーゼはインノミナートの城の中に難を避ける。
ドイツ人傭兵隊が立去る。難を避けて逃げていた人々が故郷へ戻って来る。荒廃と飢饉。
ペスト。その原因、当初の論争。ペストをひろめるといわれた「塗屋」。
ペストの蔓延。恐怖、迷信、狂気。
ドン・ロドリーゴが発病する。グリーゾが主君を見捨て、裏切ってロドリーゴを死体収容人であるモナットたちに引渡す。グリーゾの死。レンツォはペストに罹るが治り、ルチーアを探し出す決心をする。ミラーノへ向う途中、故郷の村に寄り、アッボンディオ司祭に会う。
ミラーノにおけるレンツォ。市中の荒廃。チェチーリアの母。レンツォはルチーアがラザレットと呼ばれる避病院にいることを知る。ペストをひろめる「塗屋」と間違えられ追われるが、死体収容人たちの車に跳び乗って難を免れる。
避病院。レンツォはクリストーフォロ神父に再会する。瀕死のドン・ロドリーゴ。
フェリーチェ神父の説教。レンツォは女の収容所内に入る。ルチーアとの感動的な再会。クリストーフォロ神父が生涯童貞を守るというルチーアの願を解いてくれる。
レンツォは避病院を後にしたところで大雨に遭う。故郷の村に着く。ついで避難先のアニェーゼに会い、ベルガモへ行く。クリストーフォロ神父死去の報せ。
ルチーアが村に帰って来る。アッボンディオ司祭はそれでもまだ結婚式を挙げることを躊躇する。ペストで死んだドン・ロドリーゴの地位を継ぐ人が村にはいって来る。ドン・アッボンディオは不安が解消してほっと喜ぶ。婚礼が行なわれる。新郎新婦は、アニェーゼとともにベルガモ領に移る。製糸場の入手。最初の子マリヤが生れる。物語の結び。
著者等紹介
マンゾーニ,アレッサンドロ[マンゾーニ,アレッサンドロ][Manzoni,Alessandro]
1785‐1873年。19世紀イタリア最大の国民作家。ミラーノの貴族出身。1827年発表の『いいなづけ―17世紀ミラーノの物語』は、近代イタリア語の規範を作ったとされる。1860年上院議員となり、イタリア統一の精神的指導者として国民的尊敬を受けた
平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年東京生まれ。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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