河出文庫
最後の夢の物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 616p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309462639
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

不死鳥を食べて幽霊や妖精を見る不思議な力が備わった男の顛末を描いた中篇「不死鳥を食べた男」を表題作とする本邦初紹介の短篇集に、稲垣足穂に絶大な影響を与えた、日常の中に神話的世界が混ざり合うコント集『五十一話集』を初の完全版で合わせて収録。

著者等紹介

ロード・ダンセイニ[ロードダンセイニ][Lord Dunsany]
1878‐1957年。本名エドワード・J・M・D・プランケット。アイルランドの男爵。第18代ダンセイニ城城主。戯曲家としてケルト復興運動に参加。処女作『ペガーナの神々』を初めとし魅力的なファンタジー作品により、ジャンルを超えて多くの作家に影響を与える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かりさ

71
ダンセイニの幻想物語に織り込まれるほら話が、作風の変化の片鱗を感じる作品。掌握な寓話風物語たち「五十一話集」は想像の愉しさを堪能し、「不死鳥を食べた男」など語りを夢見つつ聞くような揺蕩う心地よさに酔う。黄昏の国は私達の夢と繋がります。ダンセイニの物語はその揺るぎない幻想世界の中にも颯爽とした軽やかさとしなやかさがあって、そこに触れることで現実の生き辛さから幾多も救われた気がします。足穂が影響を受けた詩のような物語達は擬人化した〈彼ら〉の人間味ある姿が愛らしく幾度も会いたくなります。大切で大好きな作品です。2019/03/10

井月 奎(いづき けい)

42
ダンセイニ卿とお茶をいただいている際、彼が小箱を差し出してきます。「お茶うけにどうかね?」と。小石がたくさん入っています。「手に取っても?」「もちろんかまわない」なぜか鼓動が早まり、落ち着くために紅茶を一口飲みます。ただの石だと思いつまみあげると裏側は七色の光、妙なる香りを放つとおもえば「香水をこぼしてしまってね」卿はそういって笑います。お茶とウイスキーの香りにも満ちているこの小箱を閉じて聞きます。「与太話も混じっているようですが?」卿は真面目な顔で言います。「この世でそうでない話などあるのかね?」と。2020/05/03

本木英朗

12
アイルランド(当時は英国領だが)の幻想小説家のひとりである、ロード・ダンセイニの短編集のひとつである。この作品だけは、実は俺も初めてだ。〈五十一話集〉〈不死鳥を食べた男〉〈その他の物語〉全部が全部、面白かったり驚かされたり、残酷だったりする話ばかりである。大満足でした!! またいつか1巻から4巻まで通して読みたいなあ、ウフフ!!2024/02/21

白義

6
ダンセイニの短編集成もこれがラスト、深い暗闇の神話世界から夜明け、ボクらの住むこの世界へと、幻想の舞台が移行していく。本書の短編の多くは、近現代の現実世界を中心に展開される。だが、ダンセイニの美しい文章が呪文のごとく作用しその現実を融解させ、遠き神々の園に繋がるファンタジウムを茶目っ気たっぷりに呼び込むので、物足りなさを味わうことはなく、これはこれで想像力に満ちた珠玉のショートショート集になっている。このシリーズを全て読み終えたあなたにも、本書のような出来事が、きっといつか起こるだろう2012/10/11

3
初期に比べぐっと神々が遠く隔たり現実世界が強く前面に出るようになっている。やっぱり初期の幻想的な雰囲気が好きなので、後半は少し肩透かしを食らった気分だったのですが、ところどころに皮肉さがにじみ出ているのもまたいいかなと思い直しました。これを読み終わった後にまた一巻から読み直したくなる。2010/05/25

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