内容説明
堪能な英語力により世界の怪談を自家薬篭中のものとし、名作を渉猟した綺堂の怪談傑作選。
著者等紹介
岡本綺堂[オカモトキドウ]
本名敬二。1872年、旧御家人を父として東京に生まれる。東京府中学校卒業後、東京日日新聞に入社。記者の傍ら戯曲を書き、『修禅寺物語』『番長皿屋敷』等の名作を発表。定評ある江戸風俗の確かな知識は、人気を博した捕物帳の嚆矢「半七捕物帳」シリーズ、『三浦老人昔話』等の小説に遺憾なくいかされている。1937年死去
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感想・レビュー
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sin
72
その時代の怪談文芸の多くは語り手の常識人たるアピールがくどくどしくて、まるで怪異を語る際の作法と化したかのように“怪異を否定する”その身を訴えかけて鼻につく…その中にあって出色は、語り手が労働者という設定ゆえか「聖餐祭」あっけらかんとして潔い。真っ向勝負で怪異を描き切って「上床」名作アンソロジーの常連。冒涜的な黄泉がえりの「ラザルス」生への疑問。生煮えの結末ではあるが「幽霊」他に類を見ない霊との交流には果たしてどんな意味が…。本邦との比較では衝撃的結末「牡丹燈記」死して尚、性を求める不届き者といった観点か2016/08/18
Yu。
23
怪談って、恐怖の根底にある哀しき核があってこそなんだよね。お気に入りは、まるで“ホロホロの実”の能力者‥ 死から生還した男がもたらす暗黒劇がたまらない アンドレーフ「ラザルス」。2018/05/07
topo
8
名作、傑作揃いなのは言うまでもなく格調高くそれでいて読みやすい訳文にうっとり。中でもマクドナルド「鏡中の美女」の美しさ。怪奇と耽美が奏でる至極の物語は生涯忘れない。聖ラザロを題材にした「ラザルス」は壮大で読み応え抜群。ストックトン「幽霊の移転」は、幽霊の事情がコミカルに描かれていて面白い。幽霊さんも色々と大変ね… フランス「聖餐祭」も好き。人生の黄昏を彩る幻想的で甘酸っぱい体験。 クラシックホラーの放つ哀愁に浸れる素晴らしい作品集。2019/08/17
かっくん
4
戦前の子供たちはこういう怪談を読んでいたのか。(多分) 結構抽象的な表現が多くて読むのに骨が折れる。教養が高かったんだな~などと変な感心をしてしまった。『北極星号の船長』『上床』『ラザルス』『幽霊の移転』『牡丹燈記』が印象的。2022/10/01
オイコラ
3
「上床」がちょっと怖い。ただ、最後に怪物と飛び込み自殺となんの関係があるのかわからなくて興ざめした。追いかけられた?引きずりこまれた?「幽霊の移転」は、怪談なのか?と思いつつ、こういうのははじめてで面白かった。「幽霊」は主人公の幽霊に対する態度に感心しつつ、じわじわ怖い。2014/12/20
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