出版社内容情報
著者紹介
チャールズ・ブコウスキー (ブコウスキー,C)
1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。
中川 五郎 (ナカガワ ゴロウ)
シンガーソングライター、音楽評論家、翻訳や小説など、様々な分野で活躍。著書『渋谷公園通り』『ロメオ塾』他/訳者ブコウスキーの一連の作品他、ハニフ・クレイシ『ぼくは静かに揺れ動く』『パパは家出中』など。
ロバート・クラム (クラム,R)
アメコミの狂える大巨人。あのブコウスキーの小説挿し絵やジャニス・ジョップリン『チープ・スリル』イラストでも有名。ビッチでファッキューなダーティ・スカムカルチャーの大魔王。スケベで孤独な現代人にエロジーを捧げまくる腐れ外道なお下劣じじい。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
92
ブコウスキーが亡くなったのは94年3月、73歳で。この日記風作品が書かれたのは、彼が70歳の頃か。日記の日付けは91年になっている。売れ出して貧乏生活から抜けたしたようだ。50歳を超えての売れっ子ぶりに戸惑い気味。人目を避けて、それとも頭を空っぽにするためにか、競馬に明け暮れる。出始めたパソコン(アップルか)との相性が良かったようでペンも進む(キーボードが快調)。2020/12/14
masa
81
人生に最終的な勝者などいない。二十代の頃、競馬場で辿り着いた真理だ。馬券とは敗北の前売りで、実際に僕は応援すべき本命に裏切られることを期待してレースを眺めることさえあった。周りには何かを欲しがる連中が沢山いたが、僕を夢中にさせたのは何かを失うことだった。常軌を逸した飲酒で胡散臭い現実から逃避した。酩酊することで深層心理に沈んだことばのかけらを探そうとした。予想外が欲しかった。過去に当てた大穴になど何の意味もない。大切なのは常に次のレースだ。裏の出続けたコインでも、次のトスで表が出る確率は同じ1/2なのだ。2020/01/13
Y2K☮
52
再読。遺作である「パルプ」を読んだ後だから、彼の創作に対する自力本願の執念がいっそう身に沁みる。音楽はクラシックしか認めないなど気難しい自信家。でもマッカラーズを賞賛しているし唯我独尊ってわけでもない。むしろ他人はどうでもよく、競う相手は過去の自分。カネは必要だが大金名声に興味0。ヒット作の二番煎じなど言語道断。求めるのは「今日」に懸ける熱、斬新な挑戦、己の内から引きずり出した言葉で織り成す筋の通った文体。人生に唾を吐き、他者を遠ざけ、それでも書くことがあれば生きていける。ありがとよ爺さん。勇気を貰えた。2016/08/01
とびほびこび
45
パルプの次に読んだので、落ち着いた印象を受ける。日記というよりもエッセイに近い感じ。自堕落な日常をとうとうと書き綴った日もあれば、ファンキーな行動と思考の中にもゆっくりと近付きつつあるそれに対するまどろみを垣間見る日もある。そんな中でも印象に残る「がらにもなく不朽の名声に思いを巡らす事などくそくらえだ。行動と挑戦の中にこそ栄光はある。死などどうだっていい、大切なのは今日、今日、今日なのだ。」 読んだタイミングにもよるのだろうが、この言葉で最近落ち込みがちな心に喝を入れられた気がする。2015/01/13
Y2K☮
40
ニヒリストなのかな? いやそんな単純な人じゃない。クラシック音楽をこよなく愛し、ロックはボロクソ(そういえば原りょうも小説の中でビートルズに対して辛辣だった)。カフカやドストエフスキーは好きだがシェイクスピアとトルストイは嫌い。「スケベ親父の手記」なんてコラムを連載していたブコウスキーをハードボイルドの枠で括るのは無粋。ただセレブの無自覚な傲慢や多数決でいいこととされている世俗的な何かに対し、彼が生理的に催す嫌悪感。そこに過酷な運命をねじ伏せ、群れずに生き抜く者の気難しい矜持を視た。書くことは生きること。2023/01/28
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