内容説明
暗殺をねらうカトリーヌの度々の奸計を機転と用心深さで巧みに逃がれるナヴァール王。マルゴに命を救われたユグノー派の貴族ラ・モルとマルゴとの愛。そして、愛のない夫とマルゴとの固い政治的結束。ラ・モルとココナスの熱い友情と悲劇的結末。史実にもとづいて事件を忠実に追いながら、奔放な空想力で波瀾万丈の展開を見せる歴史ロマンの醍醐味。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
31
陰謀渦巻くフランス・ヴァロワ王朝末期の大ロマンの下巻。「訳者あとがき」によれば、これだけの長編でも縮約版のテキストに基づくとのこと。タイトルになっている王妃マルゴは思いのほか存在感が希薄で、その愛人ラ・モルとココナスの友情、マルゴの夫ナヴァール王アンリとフランス国王シャルル九世の信頼関係、とりわけ死を間近にしたシャルルの威厳が印象に残る。それ以上に全編を通じて一貫した悪の権化となっている母后カトリーヌ・ド・メディシスの存在感が圧倒的。「王妃マルゴ」をタイトル・ロールに据えた以上、悲恋での結びはやむなしか。2024/09/06
ぱなま(さなぎ)
20
息もつかせぬ展開で、主にフランスでのユグノー戦争を背景に、輪郭のくっきりとした登場人物たちの人間模様が描かれます。カトリーヌ・ド・メディシスを中心に渦巻く、兄弟間で王座をめぐる陰謀。政略結婚と婚外恋愛、騎士たちの友情。1572年のバルテルミーの虐殺以降の歴史の流れをつかむために読み始めたものの、おそらくは脚色が豊かになされており、すっかり歴史ロマンものの娯楽小説として楽しんでいました。2018/03/26
みっぴー
20
タイトルが『母后カトリーヌ・ド・メディシス』の方がしっくりくるほどの天晴れな悪女ぶり!三銃士のミラディ同様、主役を食う勢いです。デュマの描く悪女は恐ろしくて美しい…下巻は、マルゴの夫とその一派を亡きものにしようとする母后の陰謀劇です。マルゴと夫のアンリ、両人の愛人や従者、フランス王シャルル9世を巻き込んで、狂った歯車は加速していきます。フランスを守ろうとする狂信的な母后は完全な悪とは言い切れず、だんだん孤立していく様がなんとも嘆かわしい。母后を主役とした物語があったら、是非読んでみたいです。2016/09/12
mahiro
16
脇役と思っていたココナスとラ・モルの存在感が大きい。逮捕され処刑されるまでの二人の友情と愛する女性への想いが頁を進ませる。死刑執行人の仕事の範囲とか允許状など当時の制度が興味深かった。毒薬や陰謀でナヴァルのアンリを亡き者にしてヴァロア王朝の滅びを食い止めようとするカトリーヌ母后だが運命は変えられぬ、自分の息子まで毒殺するとは今更ながらヨーロッパ王宮はどの国もドロドロだなあ。映画になっていたのは知らなかった。2020/02/03
ペイトン
14
もしもタイムマシンがあったら会いに行きたい人の一人マルグリット・ド・ヴァロア。絶世の美女と云われていますが肖像画を見る限りではそんな風には見えません。数ヶ国語を自由に操れる教養豊かで魅力的な女性だったのだろうと思います。イザベル・アジャーニ主演の映画のイメージとは随分違いました。あの映画は衣装が美しくて好きですが....。しかしこの本は完訳ではないとの事。完訳を読んでみたい。 2015/06/27