内容説明
“ハードボイルド・ミステリーの始祖”としてますます評価が高まり、ハメット・ブーム到来の観さえある彼の長篇“デビュー作”―狂騒的な地獄絵図のような『ブラッド・マネー』と異色の短篇を6篇収録。いずれも初の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
89
荒くれどものジャムセッション。ハメットの作品群を読むといつもそんな思いを抱く。当時ミステリがパズル小説ばかりだった時、ハメットは犯罪をリアルに描いた。闇社会の者たちが生き延びるための権謀詐術がサプライズに繋がっているところにリアリティがある。本格ミステリを読んだハメットは本当のワルはこんなまどろっこしい方法で人を殺害しない、ハジキ1つをぶっ放すだけ。そして相手を騙すことに頭を使うのだと思ったことだろう。そんなリアルをミステリとして描いたのだ。いやワルの生き様の中にミステリがあったことを教えてくれたのだ。2018/03/12
bapaksejahtera
7
大部分はハメット長編初作品という表題作。その他6本ほどの短編がある。短編は収まりのつかぬ感じを受ける。表題作は私立探偵物。ハメット自身1915年から現在も大手である探偵社に勤務した経験がある。当時のことだから加州の大きな郡でもシェリフ事務所一つ。州警は弱体であり連邦警察はないに等しい。よって私立探偵も自治警察の一環としてかなり力を持つ。アメリカはそういう国だった。この小説も荒っぽく始まる。ギャング団が集結してサンフランシスコを制圧して大銀行を襲う始末。筋は単純であり、殺伐としてはいるが面白い事は請け合う。2020/12/22
YONEMARU@HD
2
「帰路」を読むにはこの本を入手するしかないので。とても短い作品だけれどほぼほぼデビュー作で、ハメットの本質が端的に表れている作品だと思っている。一読をおすすめします
卍ザワ
1
フィッツジェラルドやヘミングウェイっぽい。特に短編。表題作の中編は、テンポよく場面が転換、ストーリーがさくさく進み、飽きない。ハリウッドのシンプルなアクション映画のよう。同じハードボイルドだが、チャンドラーやロス・マクドナルドと全然違う。小鷹信光の訳も、ハヤカワ文庫はイマイチだったが、本書はけっこう良かった。2013/11/27
藍兒堂
0
★★★




