出版社内容情報
【目次】
内容説明
「人類を幸福にするのが私の仕事です」ハンバーガー屋の待ち時間でもサクッと読めてザクッと刺さる、極上のSF作品集。牛は食べたいが、動物は殺したくない、そんな人類の夢が実現した未来を描く表題作の他、大正電気女学生、石油玉、現代の箱男などが大活躍!全十五編(文庫化にあたり一編追加収録)。
著者等紹介
柞刈湯葉[イスカリユバ]
福島県生まれ。作家。2016年に小説投稿サイト「カクヨム」に投稿した『横浜駅SF』が、第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞し、単行本化されてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なつくさ
30
タイトルが印象的なSF短編集。表題作である、まず牛を球とします。に、わくわくと?を馬にニンジンの如く吊り下げられまんまと食いつきました。まず、なつくさを馬としました。中でも好きだったのは数をたべる、ルナティック・オン・ザ・ヒル。前者は数と夢の話である。退屈な話代表格の数学の話と他人の夢の話が掛け合わせて面白い話へと見事にランクアップしている。後者は月人と地球人との戦争のお話。月の丘に腰かけて見下ろす戦場。目減りしていく酸素量。緊迫の状況にも関わらず緩めの会話との緩急。そして、衝撃。好きでした。2025/11/09
よっち
28
牛は食べたいが動物は殺したくない。そんな人類の夢が実現した未来を描いた表題作、大正電気女学生、石油玉、現代の箱男などが大活躍する奇想天外な14編+1の作品集。化学的に合成された牛球、「犯罪者には田中が多い」という架空の差別と作家業、未来職安の元ネタとなった交通安全責任課、家にいる人間のふりをしている妻、ラジオで未来を聞く大正電気女学生、南宋~元時代の授時歴への改暦と天文学者、広島の原爆不発弾など、著者の思い付きや意外な着想から描かれた作品もわりとあったようですが、なかなか味のある作品が多く面白かったです。2025/09/08
Porco
22
難しいことを突き詰めて読みとった本質を皮肉ったシニカルなジョーク短編集。比較的サクッと読めるつくりをしているがシンプルなものは少なく、読み終えた後に自分の中で咀嚼し思考を巡らすことができる作品も多い。テッド・チャンやグレッグ・イーガンのような理系と文系を融合したSFを書ける人ではあるものの、学術だけではなく日本らしいエンタメの色も強いため、彼らより難解さという面ではこちらに寄ってきてくれる。そんなソフトなハードSF作家として、これからも読んだら感心し思索に耽れるような作品もバシバシと出してほしい。2025/09/14
イシカミハサミ
18
柞刈湯葉の世界観が炸裂する短編集。 「まず牛を球とします」 「犯罪者には田中が多い」 「スコットランドの黒羊」 「数を食べる」 「石油玉になりたい」 「東京都交通安全責任課」 「天地および責任の創造」 「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています」 「タマネギが嫌い」 「ルナティック・オン・ザ・ヒル」 「大正電気女学生~ハイカラ・メカニック娘~」 「令和二年の箱男」 「改暦」 「沈黙のリトルボーイ」 「ボーナス・トラック・クロモソーム」 タイトルからもう面白い。 そして深さもある。2025/09/21
宗蓮
12
ホントにワンセンテンス。一芸。閃き。この人の短編集はSFSFしてるが、硬質ってより軟質に感じる。対して小川哲はゴリゴリに硬い。どっちが良いとかいう二極化対決思想はナシ、読めばそう思うでしょ?お気に入りは読みやすい円城塔、幻想物語?「数を食べる」、なくてもいいがあると嬉しい(一方に入ってると知ってると無いのが我慢ならんのは私だけ?)「ボーナス・トラック・クロモソーム」。後、ジャケが好き。これ大事。2025/10/05




