内容説明
「花なる美は、十万世界を変えましょう」永享六年(一四三四年)五月、幽玄の美で室町の世を瞠目させた一人の男が流罪となった。世阿弥元清、七十二歳。咎なくしてなぜ、遠く佐渡へと流されたのか?そして彼の地でどう生き、何を見つけたのか?最晩年に到達した至高の舞と、秘められた「まことの花」とは―。波乱の晩年、その謎と真実に迫る奇蹟の物語。
著者等紹介
藤沢周[フジサワシュウ]
1959年、新潟県生まれ。法政大学文学部卒業。93年「ゾーンを左に曲がれ」(『死亡遊戯』と改題)でデビュー。98年『ブエノスアイレス午前零時』で第119回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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拡がる読書会@大阪
2
「風姿花伝」などの著作で芸術論を体系化したことで知られる世阿弥は能楽を大成し、華やかな時代を経験しましたが、晩年には政治的な圧力や家族内の権力争いに巻き込まれ、72歳で佐渡へと島流しにされてしまいます。 実際の歴史にある話なのですが、その時代をフィクション小説にしたもの。 佐渡の民との関わりや自然の中で「人間・世阿弥」としての自己を見つめ直し、芸術家の老境における孤独と崇高な探求していく小説です。 https://note.com/sharebookworld/n/nf5a109f8eef42024/10/26
takao
1
ふむ2024/11/20
雄徳弓雲禅定門
0
主人公は室町将軍足利義教の勘気を蒙り72で佐渡に配流となった世阿弥元清。都より能登半島を経て佐渡へ渡る様子から物語は始まる。80前に義教暗殺管領の細川氏から特赦が出るまでの佐渡での日常を描いている。正法寺に現存する寺宝、世阿弥の雨乞いの面といわれる鬼神面を現地でみて作品の着想を得、藤沢周さん自身も観世梅若流を学び能を演じることから幽玄の世界を垣間みて執筆されたらしい。私は最後まで楽しく読めたが、本作品、読む人によってはストーリーの起伏や舞台転換が少なく読むのが苦痛になりうる際どい内容でもあると感じた。2024/10/25