出版社内容情報
綾野剛、推薦!
「凡ゆる光を抉るその筆は、
彷徨う肉体たちへ生(なま)を刻む」
明日のことを僕は考えまいとした。しかし、確実に、もうひとつの朝はそこまでやってきた――。
苦しみの果ての輝きを見つめる表題作「もうひとつの朝」、高校三年生で書いた「市街戦のジャズメン」など、『きみの鳥はうたえる』で注目される以前に書かれた作品群から無二の盟友にして並走者・福間健二が精選した初期作品集。佐藤泰志の文学的原質が煌めく。
◎解説=福間恵子、解題=中澤雄大
内容説明
明日のことを僕は考えまいとした。しかし、確実に、もうひとつの朝はそこまでやってきていた―苦しみの果ての輝きを見つめる表題作、高校三年生で書いた「市街戦のジャズメン」など、『きみの鳥はうたえる』で注目される以前に書かれた作品群から無二の盟友にして並走者・福間健二が精選した初期作品集。佐藤泰志の文学的原質が煌めく。
著者等紹介
佐藤泰志[サトウヤスシ]
1949年、北海道・函館生まれ。高校時代より小説を書き始める。「きみの鳥はうたえる」で81年度下半期芥川賞候補になり、以降4回、同賞候補に。89年、『そこのみにて光輝く』で三島賞候補になる。90年、自死
福間健二[フクマケンジ]
1949年生まれ。詩人、映画監督。詩集に『青い家』(萩原朔太郎賞・藤村記念歴程賞受賞)など。2023年、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
2
単行本で読んだものを文庫にて再読。初読の時ほどの興奮は覚えなかったものの、読後にじわりじわりと身に迫ってくるような独特な感じがある。後の作品にはない粗削りさが物足りなさでもあり魅力でもあるか。それと同時にこの人は、どんなにパソコンで描くことが主流になっても、あくまで肉筆で書くことに生涯こだわり続けただろうな…と改めて確信させられた。とりわけ印象的だったのは、最後の「ディトリッヒの朝」だったか。場末のストリップ場で働く未成年コンビが、貧乏をしながらも、何某か楽しみを見つけて生きていく姿が何とも清々しい。2025/05/02
めだか
2
読み応えたっぷりの短編集。読み終えるのに時間がかかってしまった。決して読みにくい訳ではなく、考えたながら読んだら時間がかかった。どれも良いけど、アナーキストヤギが好きかな。2024/10/25
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- そこへ行くな 集英社文庫