内容説明
ユーモア溢れる日常のものからシリアスなもの、物語の誕生秘話から文学論、政治思想まで。生きにくいこの時代を生きるための無数の言葉たち。中村文則・二十二年の「思考回路」が詰まった初エッセイ集、待望の文庫化!文庫版オリジナル(「饅頭と名簿が消えた夜に」「パンデミックについて」「命の糧 フリーターの時」「精霊のような人」「生涯の宝」他)に加えて、書き下ろしも収録。
目次
1(見知らぬ男;柳の木;ひげのジョリー ほか)
2(不惑を前に僕たちは;こういう時代の苦肉の策;文化も救ってくれる ほか)
3(歯医者が嫌い;犬被害;成人式 ほか)
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。12年『掏摸』の英訳が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の年間ベスト10小説に選ばれる。14年David L.Goodis賞(米)、16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞、20年中日文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンコ
13
中村文則の思考。言葉を生業とする人の言葉は面白くて、鋭くて、そして重い。この人からあの作品たちが生まれてくるんだなと納得。2024/08/15
はるき
13
重いテーマが苦手で敬遠してきたんですが、大変面白く何度も声を出して笑いました。過度な明るさ、ポジティブ信仰に一種の恐怖感を感じる私。暗さを自認する著者に親近感大であります。半分近くが政治的なテーマなんですが、政治的な話を当たり前にする方が、そもそも普通の世の中なのです。2024/07/17
hippos
11
日常をユーモアで、政治信条は大真面目に。文章は軽くて重厚。特に政治に関しては、安倍政権・憲法9条・コロナパンデミック・戦争など切れ味鋭い文章はこれらの問題をもっと自分ごととして考えなければならないと語りかけてくるかのよう。上っ面だけでなくもっと深く深く。2024/10/18
多分、いのっち。
9
文庫版が出たので再読。 大長編を読む時、紙とペンを用意。名前が出てくる度にメモし、「誰々の妹」とか簡単に書いておく。 読む能力を高める方法は、小説を読む。小説を読んで解説を読み、作品理解を深める。 A4の紙を折り畳んだものを、しおりとしても使って、ペンを持って、読みながら気に入ったところを、ページ番号と共に簡単にメモする。 途中で思った事も書く。読み終わったら、PCに記録して、全体の感想を書く。再読の時に読むと感想が違っていたりして面白い。 noteに読書の感想を書いてみようと思った。2024/08/27
中山りの
7
ぼくは著者の小説が好きだ。 だからこのエッセイ集のなかでも、文学や小説について語られている部分に興奮を覚えた。 もちろん、その他のエッセイも愉快な気持ちになるものから、社会について考えさせられるものまで、楽しく読み進められた。 このような読書という営みは、限りなく個人的な経験だと思う。 作者と読者のあいだでおこなわれる、個人的な情報伝達。現代では比較的モノトーンかつ非効率的な部類の娯楽だろう。 だけど本が、ぼくも含め誰かを救うのだとしたら。人間の成長に必要なものなのだとしたら。2024/07/16