出版社内容情報
●文庫『あの夏が飽和する』
青春サスペンスの傑作がついに文庫化。
13年前の逃避行を描いたスピンオフ初掲載。
人気声優〈入野自由×茅野愛衣〉によるプロローグ朗読特典付き。
あの夏、逃避行の果てに、流花は自ら命を絶った。
そして13年後、生き写しの瑠花が現れる。
破滅に向かう瑠花と同級生の武命。
千尋は、十字架を乗りこえて2人を救えるのか?
戦慄の決行日は二学期の始業式。
命を懸けた、ひと夏の闘いが始まる。
内容説明
あの夏、逃避行の果てに、流花は自ら命を絶った。そして十三年後、生き写しの瑠花が現れる。破滅に向かう瑠花と同級生の武命。千尋は十字架を乗りこえて二人を救えるのか。戦慄の決行日は二学期の始業式。命を懸けたひと夏の闘いが始まる。衝撃の小説デビュー作に、中学時代の逃避行を描いたスピンオフ初掲載。プロローグ朗読特典付き。
著者等紹介
カンザキイオリ[カンザキイオリ]
2014年にボカロPとして活動を開始すると、「命に嫌われている。」などの大ヒット楽曲を次々に発表。自身の楽曲の同名小説『あの夏が飽和する。』で作家デビューして大反響を得るなど、多分野で活躍する、いま最も注目のアーティスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAOAMI
9
命に嫌わている。中学生の逃避行に始まる悲劇の連鎖が痛い。傷つきやすい十代に対し大人たちがダメダメでアカン奴らで。生物の基本たる抱きしめることを放棄・放念して時間潰す人生。瑠花の庇護欲求が出会い系に向かい、武命の暮らす崩壊家庭は空疎な笑みで取り繕われ、初恋に縛られた千尋が傷つき迷いながら二人を救おうとする流れ。登場人物の血縁・奇縁がグルっと円環している異常な狭い世界。物語通してセリフ全般ダサいとみるか、ストレートと読むか。重すぎる設定の中のリアルとするか。毒親顛末がなく、結末を読んでも救われた気にならない。2024/07/14
Nabe
4
寂しさを出会い系サイトでの出会いで埋める、暴力が日常の家族関係、13年前に死んだ恋人に囚われたままの男。 みんな歪んでて、足掻けばさらにぬかるみにはまっていく。 やっと表面に出せた本性と本心は彼らの叫びで、鋭利だけど抱きしめたいと思うくらい切実に胸に残る。 どうか世界に絶望せずに生きて、生き抜いてから終わりにしてくれ。2024/09/09
みっちゃん
4
これがデビュー作なのか。最後まで読者を離さない、すごい展開の小説だ。話に引き込まれて読み終わった。うん。すごい話でした。2024/07/16
JUN
4
一見ドロドロの愛憎劇とも捉えられるが、 それぞれが思うまま生き切った清々しさもある。2024/07/16
いっしー
2
嫌われる勇気にもあった「可哀想な私」「悪いあの人」を思い出した。それらにしがみついて行動を起こす事をしなければ、どんどん歯車が狂ってしまう。勇気を持って行動するしかない(とはいえ、救いようの無い輩が一人いたが)。悲壮な中にも希望が見いだせる小説だった。それにしても若い感性がほとばしる作品だった。2024/08/09