内容説明
平安時代初期、薬師寺の僧景戒編著の日本最古の仏教説話集『日本霊異記』は、雄略天皇から嵯峨天皇までの因果応報の説話、善悪、霊験、奇蹟、怪異、性愛などが描かれている。鎌倉時代初期、『方丈記』で知られる鴨長明編の仏教説話集『発心集』は、仏道の心の在り方を説く。両作品に魅了された詩人・伊藤比呂美が厳選、渾身の新訳で現代に甦る。
目次
日本霊異記(雷を捉える縁;狐女房の縁;漁夫の悪報の縁;野ざらしの髑髏の縁;風のように生きる縁 ほか)
発心集(玄敏僧都、遁世逐電の事;同じく玄敏僧都、伊賀の国の郡司に使われた事;平等供奉、山を離れて異州に赴く事;千観内供、遁世して籠居の事;多武峯の僧賀上人、遁世して往生の事 ほか)
著者等紹介
伊藤比呂美[イトウヒロミ]
1955年東京都生まれ。詩人・作家。青山学院大学入学後、詩を書き始め、78年現代詩手帖賞を受賞してデビュー。99年『ラニーニャ』で野間文芸新人賞、2006年『河原荒草』で高見順賞、07年『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞、08年紫式部文学賞、15年早稲田大学坪内逍遙大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
14
日本霊異記を読みたいと思っていたところ、河出文庫にあったので購入。しかし、ふつうは3冊あるよなあ、薄いなあと思ったら、抜粋版だった。◇なんか訳が直接的だけど、そうやって書かれていたのだろうね。おおらかというか、面白い。◇発心集を読むと、「うーむ、やはり煩悩が多い」ということに気が付かされる。自分にある嫌な性格とかが見えてきて反省中。そういう意味でも、たまに読むとよいかもしれない。2024/08/09
fseigojp
8
詩人の訳した霊異記 ファンタジーでよかった 2025/03/22
京橋ハナコ
2
共に仏教説話集の抜粋。これを読んで信心するほど心がきれいでないのだが、そうだなと納得する部分もあり。「善にそむくわけでもないが、悪を離れるわけでもない」全くその通り。2025/03/23
mercury
2
聊斎志異のような内容を期待して読んだが、平安時代の景戒と鴨長明による仏教の教え、行、因果等について、短い物語から伝えようとするものだった。鴨長明のようなインテリが語り、ものによっては注釈までついている。面白い。平安時代の人はこういうことを信じて生きていたのか。死が汚れというのはこんな風に市井の生活にも影響を与えるのかとわかりやすい。2024/06/29
二木康全
2
仏教説話集と聞くと、お堅い話を想像される方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実際に読んでみますと、エログロ話も含まれており、意外な印象を受けました。2024/05/18