内容説明
始まりは、「私」が小説家としてデビューしたばかりの頃に偶然目にした「三面記事」だった。一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りたという。記憶の中にだけある記事。それはずっと心の中に「棘」として刺さっていた。数十年後、「私」がその記事を手にしたことで「物語」は動き出す…。“事実に基づく物語”、開幕。「灰の劇場0-+」「文庫版あとがき」を特別収録。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、06年『ユージニア』で日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で直木三十五賞と二度目の本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
109
恩田さんの文庫本最新刊です。フィクションとノンフィクションの部分をそれぞれ独自のパートにして、時たまさらにご自分の心境のようなものをはさんだりしながら話は進みます。二人の中年女性の自死がもととなっているようですがあまりすっきりとした読後感は持てませんでした。恩田さんの今までに読んだ本の中では一番印象が薄い感じでした。2024/03/27
Shun
48
本作は事実に基づく物語と、それの書き手の物語という二面構造をしている。一つは小説家である「私」が偶然目にした三面記事を元に小説を書き、その物語が舞台化として進行する書き手のパート。もう一つは著者が実際目にした昔の記事から着想し、想像力でその事件で亡くなった女性二人の間にはどのような情況が存在したのかを描くというパートである。その事件とは共同生活をしていた妙齢(小説家の主観)の女性二人の飛び降り自殺という内容だった。世間はその関係性をどう捉えたかという問いかけ、そして著者が灰色とした理由が考えさせられる。2024/04/14
みこ
46
20年前の二人の女性が飛び降り心中するまでの過程と、それを小説にし、舞台化までされるに至った作家の話。序盤は話の構造を理解するのに苦労したが、以降はサラサラと読めた。張り詰めた緊張の糸は些細なことで切れてしまうのか。何となく似た構造の小説に「鳩の撃退法」があるが、あちらよりは読みやすく、入り込みやすかった。この何となくモヤッとした不穏とも不透明ともいえるような感じが恩田陸っぽいと思う。2024/03/17
ピース
39
二人の女性が橋から飛び下りたという記事がずっと気になってた。これについて小説を書こうとする。これがフィクションと現実が入り乱れてこんがらがってしまった。「0」と「1」で区別されてたが最初はその意味が分からなかった。2024/08/18
カブ
39
小説家が何をモチーフに作品を書いていくのか。これは事実に基づく物語。始まりは偶然目にした三面記事だった。あまり面白く読めなかったのが残念。2024/03/03