内容説明
『ミラノ 霧の風景』―須賀文学の魅力が凝縮した、不滅のデビュー作。講談社エッセイ賞、女流文学賞受賞。『コルシア書店の仲間たち』―60年代ミラノの小さな共同体に集う人々の、希望と熱情の物語。『旅のあいまに』―単行本未収録の連作エッセイ12篇。深いまなざしで綴られるさまざまな出会い。
目次
ミラノ 霧の風景(遠い霧の匂い;チェデルナのミラノ、私のミラノ;プロシュッティ先生のパスコリ ほか)
コルシア書店の仲間たち(入口のそばの椅子;銀の夜;街 ほか)
旅のあいまに(マリ・ルイーズ Marie Louise;ヴァレリー Valerie;インセン In‐seng ほか)
著者等紹介
須賀敦子[スガアツコ]
1929‐98年。兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。上智大学比較文化学部教授。1991年、『ミラノ 霧の風景』で女流文学賞、講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
127
全集と聞いてどんなイメージを持ちますか?私は修行のようなイメージがある。なぜならその著者といい部分と悪い部分があるから読んでいて落差が大きいと思っていた。だがこの全集は今の所違う。どの作品も面白い。全体を通しては温かい日の電車の中のような心地よさで溢れている!話の中身は暗いものも案外多い。だがその悲しみの中でも著者の須賀敦子さんの思いだったり思い出を綿密に描くことによって私達も疑似体験出来るようになっている。まだまだ先が長いが不安でない。むしろ心躍っている!早く続きを読んでみたいと思える全集である!2022/03/01
あーさん☆転スラ·薬屋·本好き·魔導具師ダリヤ·天久鷹央·かくりよと続々アニメ最高です!!(≧▽≦)
87
著者の須賀敦子氏の頭脳の良さが文章にヒシヒシと出ている本。聖心女子大学卒。上智大学教授ってハイスペックな方の文章は凄いな(¯―¯٥)でも、出版社がルビを入れないから、この凄さを若い人達に読んでもらえないと言う事実がちょいと寂しい(¯―¯٥)この本に辿り着ける若い人が何人いるのかな?('・ω・') 2019/11/09
コットン
82
3つの上手さとセンスを感じるエッセイを収録。(このうち『コルシア書店の仲間たち』は既読。)『ミラノ 霧の風景』:友人にからかわれながら早起きして新聞を買いに行くほど熱中した新聞小説が『香水』(←これ私も面白く読みました!)だった話や、イタリアの八百屋の奥さんに古新聞をあげていて、じぶんでも贅沢だと思いながら東京で買ったハンカチを整理の悪さで古新聞の中に挟んだままなのを八百屋さんにあげてしまい奥さんに感謝されて引っ込みがつかなくたった話など。人の好さが文章からにじみ出ているように感じ好感もてます。2015/02/01
天の川
64
ミラノ霧の風景/コルシア書店の仲間たち/旅のあいまにの合本。須賀さんが1960年代に出会った人々との想い出を綴ったエッセイだ。この時代に仕送りを受けて留学できる資産家令嬢だった彼女が出会った、上流階級の人々、レジスタンス活動を担った左派の活動家たち、アフリカからの移民の若者…その人間観察の的確さと温かさ、知的で少しの寂しさを纏った文章に惹かれる。書店の挫折、夫のペッピーノをはじめとする、すでに他界した多くの知己。20年の歳月が流れた後の文章は自分と周囲を俯瞰したもので、抑制された感情が心に浸み込んだ。2023/02/03
佐島楓
64
『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『旅のあいまに』収録。読み飛ばすことができず、時間がかかってしまったが、結果的に正解だった。コルシア書店での様々なひとびととの出会いと別れ、喜びと悲しみを描くには、須賀さんの中で醸成する時間が必要だったのだろう。過去を書き、もう会うことのないひとびと。でもなにか、悲しいだけで終わらない、彼女のなかの世界観、空間のようなものも感じ取れるのは、筆の力ということなのだと思う。2018/05/18