内容説明
作風は優雅にして猥雑、生涯は華麗にしてスキャンダラス。20世紀アメリカ文学史上に燦然と輝く伝説の小説家ジュリアン・バトラー。しかし、ある覆面作家によって書かれた回想録『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』が刊行され、遂にその実像が明らかになる―。デビュー小説で読売文学賞を受賞し、各メディア絶賛の超話題作が、宇野亞喜良の装画で待望の文庫化!
著者等紹介
川本直[カワモトナオ]
1980年東京都生まれ。小説家・文芸評論家。2021年、デビュー小説『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』で第73回読売文学賞(小説賞)を受賞。同作は第9回鮭児文学賞、第2回みんなのつぶやき文学賞(国内篇第1位)も受賞し、各メディアで話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Inzaghico
10
壮大な虚構だが、それを支えているのが揺るぎない事実と真実。その質と量たるや、事実として存在するアメリカ文学(とイギリス文学)の作品と人物を、ここまで縦横無尽に展開するには、相当の学識がないと無理だろう。フィクションでこそあるが、アメリカ近現代文学史として読んでも抜群に面白い。いわゆるマイノリティ文学(民族的にも性別的にもジェンダー的にも。「アジア系アメリカ文学」というように、アメリカ文学の前にXXがつくものの総称として)が抵抗・対立からマジョリティとの同化へ、という流れも文中できちんと踏まえられている。2024/02/27
どら猫さとっち
8
これは面白い。優雅で猥雑、華麗なスキャンダラスな伝説作家、ジュリアン・バトラー。彼をめぐる実像の評伝小説。デビュー作で読売文学賞受賞、伝説の話題作が降臨。カポーティやメイラーなど、実在の作家が登場するので、これは現実なのか虚構なのか…。しかし不思議とその世界に入り込め、現実にいたら大変だけど、面白く愛おしい。日本文学史上、異色の超大作。2023/12/08
nami1022
5
長かった。ページ数以上に長さを感じました。文芸評家の川本直先生の小説デビュー作。作品の構成というかスタンスがトリッキー過ぎて面白い。ノンフィクションを混ぜ込んだ壮大なフィクション。ゴアヴィダルやトルーマンカポーティをはじめ、名前は知ってるけど何を書いたのか、どんな作家なのか、20世紀の文学史を知っていればもっと楽しめたのかな、と。あと、舞台が舞台なので仕方ないのですが、固有名詞がカタカナばかりで疲れました。外国人の名前は性別も分かりません。。2024/05/14
D
5
批評家による小説。翻訳小説と見せかけた日本文学。2024/03/25
ふゆきち
5
プロットもキャラクターも何もかも強い。この時代のアメリカ文学に明るくなくても、めちゃくちゃに面白い小説でした。2024/01/31
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