内容説明
「魔法にかかったかのように、私は彼の虜になった」…もし、その相手が一生かかってもかなわない天才同業者だとしたら?音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」。犯人は、アントン・フェリックス・シンドラー―誰よりもベートーヴェンの近くで尽くした人物だった。なぜ、彼は捏造に手を染めたのか。衝撃的歴史ノンフィクション!
目次
序曲 発覚
第1幕 現実
バックステージ1 二百年前のSNS―会話帳からみえる日常生活
第2幕 嘘
バックステージ2 メイキング・オブ・『ベートーヴェン捏造』―現実と嘘のオセロ・ゲーム
終曲 未来
著者等紹介
かげはら史帆[カゲハラシホ]
1982年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
24
難聴だったベートーヴェンの死後、その会話帳の一部を勝手に破棄したり、数々の改竄を施したりした秘書シンドラー。彼の書いたベートーヴェン伝も、信用ならないものだという。崇高な楽聖と忠実なその秘書という物語を作ったシンドラーの動機に迫る。この本自体、著者が彼の内面に迫るというより、主観に入り込んでしまうのだから、かなり小説よりのノンフィクションと言える。それにしても、これほど崇拝し奉仕したのに、ベートーヴェン本人には軽んじられ、嫌われ、バカにされていたのだから、なんだかやり切れなくて、ほろ苦い哀愁が漂う。2025/05/16
ばんだねいっぺい
24
飴に群がる蟻のごとく、天才のまわりにはという感想。なんだかんだと名プロデューサーの才を発揮したのが皮肉でならない。さまざまなバトルも盛り上げに一役も二役も買ったに違いない。2023/12/29
緋莢
23
「このように運命が扉を叩くのだ」交響曲第五番のジャジャジャジャーンというモチーフについて、ベートーヴェンはこう述べた…と伝記には書かれている。だが、これは 伝記の執筆者の創作の可能性が高い。伝記の執筆者であるアントン・フェリックス・シンドラーはベートーヴェンの晩年に音楽活動や日常生活の補佐役をしていた人物。そんな彼が 聴覚を失ったベートーヴェンが、コミュニケーションを行うために使用していた筆談用ノート「会話帳」の一部に加筆、一部は燃やしていたことも判明(続く2024/05/01
鐵太郎
20
ベートーヴェンが生き、死んだ時代、音楽家を英雄・アイドルとして崇拝することはそれほどポピュラーではなく、葬式、墓はもとより死後に讃える銅像を造るなど皆無であったとのこと。しかしベートーヴェンを崇拝し、顕彰し、楽聖と讃える元を作ったプロデューサーがいたのでした。その名はアントン・フェリックス・シンドラー。この男は、実はベートーヴェンに疎んじられた「面倒くさい男」であり、師と自分を持ち上げるために「会話帳」を改竄して大ウソをついたのだという。なぜ、なんのために。それを解明した歴史ドキュメントがこの本。面白い!2023/12/22
Greatzebra
15
現代に語り継がれるベートーヴェン像は、秘書シンドラーにより捏造されていた。シンドラーのやったことは本当に悪いことだったのか?シンドラーがいなかったらベートーヴェンはもっと普通の作曲家に成り下がっていたのかもしれないではないか!キリスト、弘法大師空海なども人間には不可能と思われるような盛られ方をしているではないか!宗教家にしても歴史的人物にしてもその後の名プロデューサーとでも呼べる人物がいてこそ、我々の知っている像があるのだ。クラシック音楽に興味がある人は読むべき本。 2024/05/21
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