内容説明
「魔法にかかったかのように、私は彼の虜になった」…もし、その相手が一生かかってもかなわない天才同業者だとしたら?音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」。犯人は、アントン・フェリックス・シンドラー―誰よりもベートーヴェンの近くで尽くした人物だった。なぜ、彼は捏造に手を染めたのか。衝撃的歴史ノンフィクション!
目次
序曲 発覚
第1幕 現実
バックステージ1 二百年前のSNS―会話帳からみえる日常生活
第2幕 嘘
バックステージ2 メイキング・オブ・『ベートーヴェン捏造』―現実と嘘のオセロ・ゲーム
終曲 未来
著者等紹介
かげはら史帆[カゲハラシホ]
1982年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チョコ
57
映画化されている本ということで知った。ベートーヴェン は子供の頃から好きだし、どういうこと?と読み始め、ほんとまさにプロデューサーだったんだな、シンドラーっと思った。『運命』の件だけでも歴史を変えたよ。そして、録音技術がない中、演奏指揮でベートーヴェンを布教。本当にベートーヴェンが好きだったので、かっこよく英雄らしく仕立て上げてしまったのよね、と好意的に読んでしまった。山田くんがシンドラー演じてるからかな。映画も観なくては。2025/10/08
どぶねずみ
32
ベートーベンの伝説と歴史の虚実に迫る刺激的な物語。音楽史の裏側や人間ドラマを通じて、真実とは何か、どのように歴史が作られるのかを問いかける。事実と虚構の境界について考えさせられ、芸術や歴史の見方に深みが増した。重厚で思想的なテーマを扱いながらも読みやすく、興味を惹きつける展開が続き、強い印象を残す作品。2025/10/26
かんやん
30
難聴だったベートーヴェンの死後、その会話帳の一部を勝手に破棄したり、数々の改竄を施したりした秘書シンドラー。彼の書いたベートーヴェン伝も、信用ならないものだという。崇高な楽聖と忠実なその秘書という物語を作ったシンドラーの動機に迫る。この本自体、著者が彼の内面に迫るというより、主観に入り込んでしまうのだから、かなり小説よりのノンフィクションと言える。それにしても、これほど崇拝し奉仕したのに、ベートーヴェン本人には軽んじられ、嫌われ、バカにされていたのだから、なんだかやり切れなくて、ほろ苦い哀愁が漂う。2025/05/16
ぐうぐう
28
晩年のベートーヴェンの秘書を務めたシンドラーによって、現代にまで引き継がれているベートーヴェン像がでっち上げられた。嘘のようなホントの話に、まずは引き込まれる。聴力を失ったベートーヴェンは周囲の人達とコミュニケーションを取るために会話帳を用いた。死後に遺された膨大なその会話帳をシンドラーは大胆にも改竄していく。ベートーヴェンを神聖化するために、あるいはシンドラー自身の存在を大きく見せるために。例えば「交響曲第五番」冒頭のジャジャジャジャーンという音を「運命はかくの如く扉を叩く」と(つづく)2025/08/13
うわじまお
27
巨匠・マエストロ、ベートーヴェンと、彼の勝手秘書、シンドラーのお話。そもそもクラシックにそれほどなじみがないので、知らないことばかり、へ~の連発。自身の論文をもとにしているそうですが、書きっぷりがお上手で、楽しい小説のように読めました。2025/09/16




