内容説明
物語の中では、どんな恋をも生み出せる。しかしこのやりきれない現実は…。不本意な結婚と死別、義理の息子との不義の恋、時の人道長との交渉が、物語へと飛翔する。古今東西不朽の名作「源氏物語」の作者・紫式部=香子説に拠り、その想いと生涯を知られざる人間模様・恋模様を通し、きめ細やかに浮き彫りにした王朝歴史ロマン。
著者等紹介
三枝和子[サエグサカズコ]
1929年、神戸市生まれ。作家。関西学院大学哲学科卒。中学校教諭を経て、作家に。『葬送の朝』で文藝賞佳作。主な小説に、「響子」四部作、『崩壊告知』『その日の夏』『処刑が行われている』(田村俊子賞)、『鬼どもの夜は深い』(泉鏡花文学賞)、『薬子の京』(紫式部文学賞)など。2003年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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neimu
35
源氏物語関連ブームでで読者が増えるから文庫? 重くなくて安くて手に取りやすいからね。分かりやすいと言えば分かりやすい、読みやすいと言えばそうだが、何か違和感。『紫式部日記』を習った人には懐かしい箇所も多い。けれども、読後感がスッキリせず、ワイドショー的な気分にさせられてしまうのは何故なのかな。表紙の絵柄の印象かな。一人称で語られる語り口も、現代小説として書いてあるとわかっていても、違和感。おそらく古典で習った時のような紫式部像と差がありすぎる、下世話で平凡なイメージが強く感じられたせいか。道長の人物像も。2024/03/12
TheWho
10
昨年の大河ドラマの影響の余韻から購入した一冊。読み散らかした同時期の小説や作品に登場する紫式部は、学識はあるが多少屈折した根暗の女性として描かれている。本作では、同様の描写は多少あるが、どちらかと云うと屈折度合いが、多少薄まり、感性は鋭いが、ごく普通の女性像が微妙に織り込まれた紫式部であったと感じられた。そして虚構の恋愛を描写する現代の少女漫画に綿々と引き継がれた日本の女性達の感性と美意識、エスプリを賞賛したい。2025/02/02
陽ちゃん
10
来年の大河ドラマにあやかってか『源氏物語』関係の作品をよく目にしますが、原作は勿論、現代語訳でも最後まで辿り着いたことがありません(^_^;)。で、気を取り直して、作者の紫式部から入ろうかと手に取りました。父の赴任先の越前へついて行ったこと、年上の男性との不本意な結婚と死別、都市の近い夫の息子との恋、そしてお仕えする中宮彰子の父道長との関係…彼女が自分の身に起こったことも交えて物語を編み出したという解釈が新鮮で面白かったです。2023/10/14
鳩羽
7
父・為時の赴任先に着いていく娘・香子は、執拗に歌を送ってくる宣孝から逃れたいような、とはいえ他に為したいこともないような、鬱屈した気持ちを抱えていた。父に物語を書くことを勧められ物語を書くようになると、宮中への憧れが高まる。香子は父を置いて、都へ戻ることを決意する。…才があることや、有名な物語の作者であることが中心ではなく、中流の娘が意に染まぬ結婚を受け入れなければならないことや、創作の喜びを知り、それを人生と上手く組み合わせていく愉しみが描かれる。恋も情も権力も、死を前にして一層鮮やかに思い出される。2024/03/02
ムクムク
1
大河ドラマの先と紫式部という人物が気になって読みやすそうなこれを読んだ。おそらくストーリーとしてはずいぶん端折られてるんだろうなとは思ったが、簡単に読めてよかった。他の紫式部も読もうかとも…。2024/02/15
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