内容説明
徳川幕府は、弾左衛門制度を設け、関八州の穢多身分を支配し、下級官吏として治安維持、斃牛馬処理、皮革産業、灯芯販売に当たらせた。またその下部組織として非人頭車善七に、乞食、くず拾い、牢屋人足を管理させた。江戸時代の被差別民の実態・確執と、維新の解放令による制度の解体・職業特権の喪失後の彼らの行方を追う。『弾左衛門とその時代』『江戸の非人頭車善七』の合本決定版。
目次
第1部 弾左衛門(はじめに 弾左衛門とはなにか;弾左衛門という制度;弾直樹の生涯(小伝)
弾左衛門の謎
おわりに 中世へ)
第2部 車善七(車善七の居住地;車善七の「溜」;車善七vs.弾左衛門;車善七の解放令)
著者等紹介
塩見鮮一郎[シオミセンイチロウ]
1938年、岡山市生まれ。河出書房新社編集部を経て、作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
20
小中高で差別に関する学習を受けてきて言葉として穢多・非人は知っていたのだが、当時は同じ人々を指す別の言い方だというとんでもない誤解をしていた。「学校で歴史の勉強をする」と「歴史を知る」の間にはかなりのギャップがあるのをこういう本を読むと思い知らされる。また、江戸時代の隅田川周辺の地理が古地図も交えながら紹介されており、史跡巡り好きにとってはそういう楽しみ方も出来る一冊。2023/09/22
LUNE MER
17
今となっては史跡もなく、現地での案内板すらない浅草弾左衛門屋敷の跡地。それでも現地の散策をしてみたいというときに本書はこれ以上にないガイドブックとなろう。先日も浅草橋駅〜向島を散策したが、本書で知ることのできた予備知識のお陰で何気ない風景の中にも空気を(勝手にかもしれないけど)感じ取ることができて、かなり充実したひとときだった。2024/03/10
fseigojp
5
いまNHKの大河が吉原を舞台にしており周辺勉強にて2025/03/25
しょうじ
4
「差別はいけない」と教育を受けた。部落差別とはいったい何であったのか?改めて認識したいと手に取ったのだが、内容が深い。人が忌み嫌う仕事に従事する必要を特定の集団に押し付けたい封建時代の意向が存在したのであろう。その身分制度を精度よく固定化するために穢多は穢多頭を作り、穢多の下に非人階級を設けて非人頭を置いたのだろうと想像はできる。この身分制度の中で彼らはどのように支配され生活したのか。制度に抗うために何をしたのか。淡々と記される史実の中から読み解くことになる一冊。客観的かつ情報量が多い。考えさせられる2024/02/18
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