内容説明
喫茶店経営者が、客を人質にして籠城した。猟銃を所持する犯人は交渉人を銃撃、そしてテレビでの生中継を要求する。要求の意図が読めない中、警察が苦肉の策として考えた意外な方法とは―。犯人との息詰まる心理戦を描く警察サスペンス「交渉人」シリーズ第三弾「籠城」が、渾身の大改稿&改題で、ほぼ新作に!
著者等紹介
五十嵐貴久[イガラシタカヒサ]
1961年、東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社に入社。2001年に「リカ」で第二回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌年デビュー。ミステリーや恋愛小説、スポーツ小説など幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
151
私が言うのもなんだが(偉そうでごめんなさい)やっと交渉人として遠野麻衣子が確立したようなシリーズの第3弾だったように感じた。劇場型人質事件の裏にあるのは・・被害者の両親の気持ちは痛いほどなのだが、そこに立ちはだかるのは【少年法】今までも(多分これからも)無残にも犠牲になった被害者家族の遣る瀬無さに、振り上げた私の拳も行き場を失うのが正直なところ。2023/11/26
absinthe
102
少年法の是非を問う作品。今回は人質を盾に籠城する犯人と麻衣子の交渉駆け引き。上層部から余計な横やりが入るが、かわしつつ解決。これまで安楽椅子の探偵宜しく、頼まれてもいない犯人捜しをやってしまう麻衣子だったが、3作目でようやく交渉中心の話になった。2025/07/07
ma-bo
101
交渉人遠野麻衣子シリーズ、完全改稿版第3弾。警視庁への110番の場面から始まる「事件ですか事故ですか」「事件です」「私が店のお客さんを誘拐しました」「店内に閉じこめているわけです。これは誘拐ですか?」喫茶店店主が客を人質に籠城する事件が発生。彼は過去に6歳の娘を15歳の少年に惨殺されていた。犯人の要求は?要求に隠された真の目的は?遠野麻衣子のネゴシエーターとして犯人との行き詰まる心理戦を描く。第3弾にしてやっと交渉人としての麻衣子が確立された感じ。少年法の有り様を問う内容と、事件終了時に明かされる↓2025/06/17
森オサム
38
決定版・交渉人シリーズ三作目。本作に置いて遂に遠野は交渉人となった!、と言う感じでネゴシエーションしてました。一作目からずっと、タイトルが交渉人なんだから交渉しなよ、と思ってましたので。今回の犯人は人質を取って籠城した喫茶店経営者。なんでそんな事したのかは早めに明らかになりますが、なんとも悲惨な境遇で有り、少年犯罪、少年法がテーマとなる社会派サスペンスだった事が分かります。これに関しては、立場が変われば意見が変わる物でも有り、永遠の課題としか言えませんが。本作がシリーズ中一番交渉人らしくて良かったですね。2023/09/16
にゃむこ@読メ13年生
25
全面改訂のシリーズ3作目。ここでようやく、麻衣子が「交渉人」として面目躍如。ほぼ全編を通して、犯人と緊迫した交渉をし続けた。小学生の娘を少年に惨殺された喫茶店オーナーが客を人質に自店に籠城。テレビカメラの前でかつて少年だった犯人に顔出しでの謝罪を要求。被害者の個人情報はマスコミにより詳らかになるが、加害者が少年だった場合は個人情報が実名以外は不明だ。少年法で守られているとはいえ、どうもこの国は加害者優位が過ぎる(と常々感じている)。少年法のあり方を問うきっかけになればいいと思わされる籠城事件だった。2024/02/26