出版社内容情報
「あなたを愛して愛して愛しぬいてゆきたいの」放課後の女子寮でのひと時を待ち望む女学生たちの運命を描いた表題作など7編を収録。同性を愛す喜びに満ちた美しい短編集、初の文庫化。解説=斜線堂有紀
内容説明
あたしはただ、そのもののあなたを、愛して愛して愛しぬいてゆきたいの―。女学校で出会い、惹かれあう彌生とかつみの純粋で真っ直ぐな愛を描いた表題作のほか、時代に翻弄されながらも想いを一途に貫こうとする少女たちを描いた短篇集。愛についての信念を綴ったエッセイ「同性を愛する幸い」も収録。
著者等紹介
吉屋信子[ヨシヤノブコ]
1896年新潟市生まれ。10代から20代にかけて発表した『花物語』が「女学生のバイブル」と呼ばれるほどの大ベストセラーとなる。1952年「鬼火」で女流文学者賞、67年菊池寛賞受賞。73年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HERO-TAKA
10
吉屋信子さんの文章は平素でありながらも情緒的で浪漫に溢れている。洒脱な比喩に滑らかな感情描写。優しい神の視点。クラシカルでありながら全く古びていない。とても100年前に書かれたとは思えない。そんな一種の到達点である文章力で描かれる箱庭のような世界での百合の花弁たち。その囁きに興味のなかった私でさえ虜になる。2024/03/27
バーニング
9
古典的な百合であるエスの書き手として有名な著者だが読むのは初めて。これが100年前に書かれたことが驚きであるが、随所に描写される当時のジェンダー秩序に対する嘆きと不満、そしてであるが故に女として女を愛することの素晴らしさを謳った一冊としてとても良いものを読んだ、という気持ちになった。抑圧の中で愛と自由を求めていた100年前の女学生が生き生きしている姿がとても楽しかったし、解説を現代の百合小説の書き手である斜線堂氏が書いているのもとても良い。2023/07/19
るぴ@ありがたきハピネス
8
大正~昭和のGL、素晴らしかった!文章美しい~! 女の子がほんの一時期だけ持つことのできる、柔らかな感受性、潔癖さ、刺激や憧れ、全部詰まってる。はかなく、もろい美しさ。多分、この本は太宰の「女生徒」とか好きな人はお好みなのではないかしら。堀辰雄の「燃ゆる頬」とか。2026/04/30
あんこ
6
復刊されたということで早速。「花物語」よりも文語調が多用されていて、読みにくいかなと懸念していたが、そんなことは全くなかった。むしろ、二人の愛が育まれる度に歓喜し、別離のシーンでは涙してしまった。表現が緻密で、乙女の繊細さと熱さが美しい文で彩られており、読んでいて心沸き立つものがあった。レズビアン小説、漫画等は別として、最近「百合」と分類されるものと私が考える「百合」のギャップが少なからずあったので、こうして吉屋作品で初心に返ることができて良かった。改めて、こういった百合が好きだと思った。2023/08/07
まる
6
まだ、十代にも入らぬ頃に家にあった吉屋信子の作品を読んで、優しげな語り口と物語をとても魅力的に感じた。まずしい家に育った利発な少女の物語だったと思う。何も知らず吉屋信子が好きと誰か大人に話した折りに、不思議な反応が返って来てショックを受けたのを思い出す。それ以来の吉屋作品で、その時の大人の反応を今更であるが成る程と理解した。 2023/07/12
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