内容説明
収録作はすべて事実譚である。―明治時代から戦前までにあった、怪談、不可解な事象、猟奇事件を生なましく伝える、怪奇と恐怖のアンソロジー。陰の世界に棲む死霊、描の祟り、首なし事件、事故物件…といった、町や村の出来事に取材した、怖ろしい話を集める。怪異、因縁、宿業、凄惨!二〇〇九年版に、山之口貘の名作「無銭宿」を新増補!
目次
春吉と死霊(大田雄麻)
死馬の呪い(青木亮)
猫の祟り(やみのくれなゐ)
闇の人形師(丸山茂)
猟奇魔(今藤定長)
淫獣(皆川五郎)
生肝殺人事件(高橋清治)
無銭宿(山之口貘)
著者等紹介
志村有弘[シムラクニヒロ]
1941年、北海道生まれ。伝承文学・近現代文学研究者。相模女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Take@磨穿鉄靴
33
自分で借りといてなんだけど率直に言って私には合わない。違う表現をこの本を読む前の私に伝えるなら「古い怖い話じゃない。」「古い話(面白くない)小声」。…。忖度する必要はない。ツマラナイ!!民俗学の資料としての価値もあまり無さそうだしターゲットはかなり狭いと思われる。夏らしい怖い話が欲しかったけどホコリにむせただけの印象。★★☆☆☆2023/07/31
Ribes triste
11
まるで聊斎志異のような怪異譚に、推理小説さながらの猟奇殺人事件まで、「こわい話」の懐の大きさが面白い。私的にはそこはかとなくユーモラスな「猫の祟り」が好みです。山之口獏「無銭宿」のしみじみとした味わい。善きかな、善きかな。2023/07/07
かすみ
10
戦前の実話の短編集です。言い回しが難しいところがあるものの、ミステリー仕立ての話は面白かったです。あまりにも奇妙なストーリーなので、実話が元であることにびっくりです。2023/07/23
春風
9
戦前のこわい話アンソロジー。大衆向け娯楽雑誌が出典と思われる怪奇譚や猟奇殺人譚が収録されており、お化けの登場は期待してはいけない。「江戸川乱歩以前の、乱歩趣味な物語が集成されたアンソロジー」というのが、最も簡潔に本書のイメージを伝えられる表現かもしれない。しかしながら本書は怪奇実話集成と謳っているが、果たしてどこまでが実話なのか。解説で種明かしなるかと期待したが、実話如何に関しては触れられず。個人的には明治の娯楽物語と戦後のカストリ雑誌を繋ぐミッシングリンク的な位置付けで、怖いというより笑わせてもらった。2023/06/20
ほわ
5
装画の雰囲気からして期待して読んだけど、違う意味でこわい話だったね。ほとほと男社会だなというような強姦や凌辱が頻繁に出てくるし、これが本当の出来事なのだとしたら欲望剥き出しの我慢出来ないやつがゴロゴロしていたんだと思うとゾッとする。猫の祟りの話はしゃばけあたりに出てきそうな内容て個人的にはほっこり系な気がしたけど、最後は気狂いで死んでいくから怪奇モノなのだろうね。なんだか編集者には申し訳無いけどキワノモ好きじゃないとあまり受けない内容だったかな。2023/08/04