出版社内容情報
気ままな大学生ヒデと勝ち気な年上女性、額子。かつての無邪気な恋人たちは、深い喪失と絶望の果てに再会し、ようやく静謐な愛の世界に辿り着く。著者を代表する傑作恋愛長編。
著者情報
1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。
内容説明
気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上の恋人・額子から突然の別れを告げられる。大学を卒業し就職したヒデは、次第にアルコールに依存するようになり、周囲から孤立。一方の額子は、不慮の事故で大怪我を負っていた。行き場のない思いを抱えながら、すべてを喪失したかつての恋人たち。長い歳月を経て再会したふたりに、静謐な時間が訪れる。
著者等紹介
絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川龍之介賞、2016年『薄情』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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miu
8
ばかもの。この言葉の中にたくさんの感情が込められている。大学生が恋をし失いそしてアル中になり再生し。どうしようもないばかもの。だけど可愛らしくもあるばかもの。年上の額子とヒデは、身体の一部を失ったり人生の一部を失ったり、遠回りしてまたお互いに行き着く。我々はつくづくばかものだね、という言葉が聞こえてくる。2023/06/19
はね
4
会話の言葉づかいがきたないのは読む気が失せる。彼女だった翔子ちゃんがかわいそうだし、ネユキの事件は中途半端。ヒデには共感全くない。2023/06/21
こけこ
3
額子、キツいなあ。だからこそヒデはハマってしまうのかな。私は19歳の頃、付き合っていた彼氏を28歳の女性に取られてしまった。この小説のようにメロメロだったのだろうか?と昔の恋愛をちょっと思い出してしまった。2025/05/26
花子とアン
3
けんごの小説紹介より、冒頭の出だしが気になって手に取りましたが、絶対に自分からは手に取ることのなかった本なのは確かです。どうしようもないクズ男の話でした。アル中で暴力ふるって記憶にないという、墜ちるとこまで堕ちていったヒデが、額子に再開してからほんの少しまともになるまでのお話。結局、ヒデは額子に逆らえないぐらい愛してたんかなぁ。んー、行間から何かを感じる人もいるのかもしれないけど、わからないままに読み終えてしまった。2025/03/21
てったん
3
伊坂幸太郎さんが、好きな作家は『絲山秋子さんと、佐藤正午さん』といったことを書いていた文を読み、気になった絲山さん、初読。 絲山さんの本の初読で、この本が適切だったかわかりませんが、素直に面白く一気読みでした。 読みやすい文章ですね。 主人公も平凡だし、お話もよくある話といえば、そんな気もしますが、とにかく良かったです。 幸せってどこにあるのかを考える小説に思えました。他の絲山作品にも触れたいと、思います。2023/05/12