内容説明
「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、有吉さん」文化人類学者の友人、畑中幸子氏に誘われて超多忙の一九六八年、第二の故郷であるインドネシア滞在後に足を伸ばしたのが、ニューギニアの奥地、セスナを降り三日間山を歩いて辿りついたヨリアピだった。文明に侵されていないシシミン族が住む地での驚きの連続と抱腹絶倒の滞在記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
91
1968年、文化人類学者の友人畑中幸子に誘われてニューギニアを訪れた作者の、想像を絶する過酷さを描いた紀行&滞在記。一行目から文の上手さに惹き付けられました。命の危機と言ってもいいほどの大変なできごとに何度も遭遇するので、読む方も真剣にとは思うのですが、あまりにもおかしくて吹き出してしまう場面もたくさん。関西弁の女二人の会話が本音だらけで最強です。深く考えずに行ってしまった作者もすごいけど、未開の地に女一人で住んでいる畑中さんはすごすぎます。帰国してからのマラリア発症の場面が一番怖かったような気がします。2023/07/13
たま
74
有吉佐和子が1968年、文化人類学者の友人畑中幸子をパプア・ニューギニアに訪ねた記録。畑中は数年前に〈発見〉されたシシミン族の集落に住み込み研究中。有吉は現地の人なら8時間で踏破すると言う山超えに3日かかり、足の爪が剥がれ全く動けなくなりブタのように棒に吊り下げられて現地にたどり着く。有毒動植物に泥水、そして全身の痒み。二人とも1930年外地生まれの強靱さ。とくに「ほんまに弱虫やな。アカンツやな。そんなことでどうするんや。なんのためにニューギニアの奥地まで出かけてきたんや」と毒づく畑中さんがすごい。2023/07/04
がらくたどん
62
佐和子復刊②河出の企画雑誌『スピン』の1号の「絶版本書店」という寝た子を起こすような企画で絶賛紹介されていた作品。翌年、朝日文庫から河出に移って再版された。所有の本の帯には「有吉センセイ、ついにシシミン族にパンツを縫う」という謎の文言も見られる。この手の誘いネタは読んだら大したことがない事も多々あるのだが、本作に関しては佐和子さんが縫ったパンツがシシミン族の文化に階級と差別の概念の種まきを果たした(かもしれない)のだ!『非色』とほぼ同時期に読んでいたので心底「ヒト」という生物に震撼した。とにかくオモロイ♪2024/05/06
アイシャ
60
タイトルから受けた印象がすっ飛ぶくらいの強烈な体験記。文化人類学者の友人に「いい所だから」と言われて 軽い気持ちででインドネシアへの取材旅行の帰りに寄ったニューギニア。友人畑中さんがフィールドワークをするヨリアビまでは、最寄り空港から5つの山を超えて歩いて3日。最後は気絶して野豚を担ぐ要領で運ばれた。一週間で帰るつもりが爪が剥がれて歩けなくなり結局1ヶ月過ごした。読んでいてこちらも痒くなってくるほど虫に襲われ、ネイティブは服も着ずに皮膚病だったり、飲み水は茶色い川の水。本人曰く、タカをくくっていたと2024/10/04
さぜん
50
文化人類学者の友人の誘いとは言え、昭和43年にニューギニアに行こうと思う好奇心と行動力に驚愕する。ジャングルの山を3日かけて歩くとか、コンビーフと乾パンの食事とか、想像を軽く超える紀行文はとてつもなく面白い。濾過器が壊れて黒い水が出てくる場面には爆笑。女1人と野豚3匹という価値の未開の地、長逗留となった有吉さんが突然帰ることができ、帰国してから高熱に襲われるなど最後まで面白く読ませる。畑中幸子氏がまだご存命で、この本がこれほど読まれている事をどう思われているのだろう。有吉さんと語りたかったのでは。2024/12/29
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