出版社内容情報
21歳で南方出征。ラバウルの先住民たちとの出会い。過酷な戦場を生き延びた著者の、子どもたちに向けたありのままの戦争の記録。
内容説明
21歳のある日、「お父さん」は突然地獄のような南方戦線へかり出された。不条理と不合理に満ちた過酷な戦場で、左手を失い、マラリアに苦しみ、何度も生死の境をさまよった。そんな中、現地ラバウルの人々に出会う。自然を畏れ敬い、のびやかに暮らす彼らの生活は、まさに「小さな天国」だった。戦争を知らない世代のために水木しげるが残した、ありのままの体験の記録。
目次
入隊
最前線
丘の上
土人部落
別れ
戦後の生活
小さな天国
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
1922年生まれ、鳥取県境港市出身。21歳で南方の激戦地へ出征、空爆のため左腕を失う。戦後、紙芝居・貸本漫画のキャリアを積み、1965年に発表した『テレビくん』で講談社児童まんが賞を受賞。妖怪漫画の第一人者であり、国民的人気を博す作家。1991年紫綬褒章、2003年旭日小綬章受章、2010年には文化功労者に。2015年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みーなんきー
13
水木さんの戦記はもう何冊も読んでいるけど、何度読んでも楽しい。しかも、自分の身の回りにいる誰よりも彼は魅力的な人だと思う。実際に面識は無いのに、こんなに気の合う人がいるのだと驚く。人は何のために生まれて何をして死んでいくのか、難しい倫理でなく体感でわかるものがある。何もなくても、風を感じて空を眺めている幸せもある。人とはお互い温かく接し合い、心が通じる時が幸せ。お腹が空いたら美味しいものをあげて微笑めば誰でも仲良くなれる。こんな簡単なことが文明社会では難しい。長生きして更に色んな話を書いて欲しかったです2022/12/12
たっきー
9
著者が子どもにラバウルへ出征した時のことを語るという形式。爆弾が当たった時の痛み、マラリヤ蚊の大群がきたときに顔をを触ったときのぬるっとする感触(血を吸った蚊が大量に潰れて)といったところは、やはり体験したからこそのリアルさ。現地の自然に暮らす姿は著者には魅力的で、終戦後に日本に戻るのを最初拒否していたくらい。30年後にラバウルに行ったときの様子も興味深かった。2022/09/30
kazukitti
5
んーまぁ水木先生の話は各媒体から、それ本当にリスペクトなの!?くらいのからちゃんとした話まで、まぁ話半分にしても朝ドラのとかも含めてチラホラ入ってくるので、そこまで何か思うようなこともなくw 正直作品は好きだし、凄いと思うけど、ぶっちゃけ斯界の人気のあるひとに本書かせしたの域は出てないし、それで企画も数字も読む人も問題ないんだろうねって感じ。出版された当時はご存命で、こういう話をするひとがまだいた時代ではあったっていうのも含めて、時代の資料としての価値はあるのかもなーって。2023/01/25
桐一葉
4
誰がどうして作ったのか知らないが、地獄みたいな世の中だった。 この一文がものすごく印象的。まさにそうですよね。。生きてる間に小さな天国を見れはって良かった。戦いのない世の中で暮らしたいよ。2023/10/20
run
3
淡々と書かれてるので、短時間でさらっと読めちゃうけど、印象に残る場面が多かった。 2023/01/30