出版社内容情報
現代写真界のレジェンドの原点を示す、必読のエッセイ的写真論、新装版。写真約60点を収録、入門編としても。新規解説=古川日出男
内容説明
「いったん逃げた風景のかずかずは、僕の内部でもうひとつの風景となってある日とつぜん立ち現れてくる。それはまったく時空を超えた視覚のなかと脈絡を絶った意識のなかに、ふと再生されてくるのである」。路上に立ちつづける写真家の自伝=写真論。写真60点超を収録。
目次
1 犬の記憶(陽の当たる場所;壊死した時間;路上にて;地図;夜がまた来る;もう一つの国;八月の旅;暗い絵;街の見る夢;再会;時の化石;城;海辺の日記;錆ついた風景;光の神話)
2 僕の写真記(写真よこんにちは;有楽町で逢いましょう;街を駆けぬけて;写真よさようなら;そして光と影)
著者等紹介
森山大道[モリヤマダイドウ]
1938年、大阪生まれ。高校中退後、デザイナーから岩宮武二、細江英公の助手を経て、1964年独立。写真の概念を刷新する作品群・写真論は、写真界を超えて現代アートシーンからポップカルチャーに至るまで幅広い影響力を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tenouji
11
写真は、絵画の写実性を置き換えるものと考えられるが、究極的には、人間の光の記憶を探求する技術なのかも。ノスタルジックな湿っぽい考察のエッセイだが、著者の若い頃の話しも、時代を強く感じさせるもので面白かった。2022/10/30
十文字
1
表紙に掲げられた、森山の代表作のひとつ『三沢の犬』のイヌと目があってしまったので手にした一冊。2023/06/13
ぼっせぃー
1
「(略)身体はたしかにそこにいて心が身体に寄り添ってこないという頼りない感覚は、それをもふくめて現実だということが分かってはいても、それが日常しばしばあることにかすかな不安がきざしてくる。日常という時間と空間のなかでは、人は馴れきってしまっているために、いわば普通のこととしてそうした感覚を自然に糊塗してしまうのかもしれない。日常から突出した旅の時間と空間は、ときにそうした輪郭を、人々にはっきり現わし見せてくることがある。」 旅を写真に置き換えても成立しそうである。文章は読みづらいが全体的にセンチメンタル。2022/08/14
Hamanna
0
読む写真集 森山大道先生の写真と文章が好きなのでたまに見返します
白井天鶴
0
森山の文章には、彼が撮り続ける写真と同様のパワーと描写と難解さがある。そこに森山の写真家としてのアイデンティティが見えてくる。例え文章であっても、彼が表現しているのはあくまで写真であり、いつだってシャッターを切っているのだ。自分の中で論理的に、あるいは突発的に浮かんだ感情を、今まさに見えている風景に投影して記録する。そのツールが言葉であるか写真であるかの違いしかない。