出版社内容情報
小惑星探査機が採取してきたサンプルに含まれていた、人骨化石。その秘密の裏には、人類史上類を見ない密室トリックが! 長編SF。
内容説明
三億キロ彼方の小惑星で、化石人骨が発見された。だが、日本の探査機が採取したサンプルをアメリカが合法的に持ち去ってしまう。政府の命を受けた大庭卓は天才ハッカーの鋭二と組んで奪還チームを結成、不可能に近いミッションが始まる―化石人骨の正体は?人類進化の謎に巨匠が挑む、SFミステリ大作。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年、愛知県生まれ。作家。74年、『神狩り』でデビュー。82年、『最後の敵』で第3回日本SF大賞、2002年、『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞、第55回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森オサム
37
とにかくタイトルが良い。それが読んだ理由だったのですが、これには元ネタになった曲のタイトルが有り、聴いて見た所渋い声がカッコ良かった。ボブ・ディランは余り聴いて無い、長いキャリアのどの辺りがおススメなんでしょうか?。で、元ネタと言えば、本作は「星を継ぐもの」に不満が有る著者が、それを解消する為に書いたとの事。結構昔に読んだので記憶が怪しいが、読み辛いけど傑作、だった気がする。本作は傑作とは思いませんでしたが、SF苦手な私の評価なので、他の方の感想も気になる所。山田正紀ファン、SFファンの皆様、是非とも!。2023/01/15
yumiDON
25
小惑星で発見された化石人骨の謎に挑むSF作品。冒頭、世界でもトップクラスのハクティビストの鋭二が追手から逃げるシーンはスリルがあり、スピーディーで心をつかまれる。日本、アメリカの政府の思惑も混ざりどんどんスケールの大きな話に膨らんでいき面白い。探査機が本来調査を行う惑星とは何故か異なる惑星に接触した、という謎を解いていくのが、ファーストコンタクトものっぽいな、と思って読んでいましたが、とても壮大な物語でした。2023/06/08
hide
21
三億キロ彼方の小惑星で化石人骨が発見された。人骨は四、五万年前、大臼歯は二千年前、更に大臼歯に付着し結晶化していたウィルスは四十億年前のものらしい。どうして地球に生命が誕生したのか、どうして突然それまでとはまるでレベルが違うスーパー細胞が出現したのか、ホモ・サピエンスの大躍進はなぜ起こったのか?人類誕生の意味と役割を説いたSFミステリ。人類が役割を果たしたその未来は、ここから先は何もないのだろうか?2023/12/05
山ろく
15
SFミステリー。はやぶさ後継探査機が小惑星で見つけてきたのは化石人骨。しかし着陸前後の探査機は不可解な動きを。いったい何が起きたのか。採取サンプルをNASAに召し上げられた日本の開発機構側は世界第5位のハッカーや法医学者らのチームによる米軍施設への侵入に挑む。作中で例えられた密室殺人に沿っていえばハードSFっぽい「HOW」に比べて「WHY」「WHO」は作者の色合いが一層濃い。文庫解説の恩田陸によれば「世界を山田正紀で読み直そうとしている」とか。うまいこというなあ。いい雰囲気のタイトルはボブ・ディランから。2023/04/04
inaryoXD11
10
山田正紀の長編を読むのはいつ以来だろうか?こんなに読みやすかっただろうか?最後まで飽きさせられることなく、AIと人間についていろいろと考えさせられました。地球の生物の火星由来説である「火星パンスペルミア説」と超人工知能(SAI)の関係は?鋭二がその謎に迫っていく。緊迫感の連続でした。ただ気になるのは任転のその後ですかね。名前のインパクトが大きくて忘れられないですね。2024/06/13