出版社内容情報
ミステリ、SF、恋愛小説から漫画、歌集、絵本まで、目利きが紹介する本当に面白い本の数々。読んだ後では目に映る世界が変わる。
内容説明
「私は途中で何度も本から顔を上げた。そして、真夜中の空気に向かって囁いた。凄い、凄い、凄い、凄い、これ、物凄いよ。誰かに電話をかけてそう云いたい。ツイッターでそうつぶやきたい」小説、漫画、エッセイ、絵本、歌集、詩集、目利きの歌人が折々に魅了された本の数々。穂村弘の書評集。谷川俊太郎との特別対談収録!
目次
1(その凄さ海のよう(山岸凉子『日出処の天子』)
思春期最強のバイブル(倉橋由美子『聖少女』)
かっこいい部屋(木内昇『新・東京の仕事場』)
物語のない時代(桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』)
桃太郎の桃の運命(内田百〓「桃太郎」) ほか)
2(これは一体何なのだ(川上弘美『物語が、始まる』)
「時間」が見える人(本上まなみ『ほんじょの鉛筆日和。』)
孤独のひかり(本田瑞穂『すばらしい日々』)
転校生登場(四元康祐『四元康祐詩集』)
洞察観音(酒井順子『食のほそみち』) ほか)
著者等紹介
穂村弘[ホムラヒロシ]
1962年、北海道札幌市生まれ。歌人。上智大学文学部英文学科卒業。『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『鳥肌が』で第33回講談社エッセイ賞、歌集『水中翼船炎上中』で第23回若山牧水賞を受賞。ほむらひろし名義による絵本の翻訳も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
83
小説、漫画、エッセイ、詩歌集など、穂村氏が読んだ本についての書評集。取り上げられているたくさんの本のうち、読んだことがあるのは1割ほどでした。ご自身の創作活動のほかにこれだけたくさんの本を読んでいるのかと驚かされます。作品についての書評だけでなく、作者についての眼差しも深く、前作のユーモラスな読書日記とは違うテイスト。思春期に生きる意味を本に求めたことが、読書に対するひたむきさに繋がっているようです。とことん求める真剣さが伝わってきました。2021/11/07
佐島楓
67
単行本を一読していたはずなのだけど、ボーナストラックが充実していてお得な気分で楽しんだ。この一冊で穂村さんの謎はだいぶ解ける気がする(あくまで気がするだけだ)。読者と同じ目線で興奮しながら、冷静な批評眼もお持ちという点がポイントというか、ファンにはギャップ萌えなのかな(古)。スイッチが合ってしまうと、どこまでもはまり込んでいく中毒性が穂村さんのすべての作品にはあると思う。2021/07/12
さぜん
46
穂村さんの感性は独特で共感する点は多くない。短歌も俳句も味わうまで入り込めないし、好きな作家も共通しない。でも、そんな見方があるのかと刺激は受ける。二階堂奥歯さんも知らなかったった。このタイトルは彼女の言葉から引用したそうだ。「八本脚の蝶」読んでみたい。もっと奥深い読書をしていきたいな。言葉を読み、噛み締め、熟成するかのように。2024/11/08
マッピー
23
穂村弘の書評集は、他の書評集より読むのに時間がかかります。作品を論理的に読み解き、分析し、解説してくれるような書評は、私には読みやすいのですが、穂村弘は感覚の人なのです。まず感性が受け止めたものを、感覚を通して言語化して論理化する。その感性の部分が私には圧倒的に足りていないと、いつも痛感させられます。彼によると、詩(俳句や短歌も)の特徴として、再読性があることが挙げられています。ということは、再読を是とする絵本から感性を鍛え直すとよいのではないか、と言う気になってきました。よし、頑張ろう。2024/03/24
ちぇけら
19
ほむらさん(この本は「ほむほむ」ではなく「ほむらさん」の語り口である)が選んだ本、選んだ文章が刺さってしかたない。ほむらさんは、物語、とりわけセンテンスの感度が極まりすぎているのだ。一度でいいから、ほむらさんで濾過した物語を読んでみたいんだ。2021/12/21