出版社内容情報
江戸慶安と室町を舞台に、二人の柳生十兵衛の活躍と最期を描く、幽玄にして驚天動地の一大伝奇。山田風太郎傑作選・室町篇、第一弾!
内容説明
山城国木津川の河原で柳生十兵衛の亡骸が発見された。その脳天から鼻ばしらには絹糸のような刀のすじ。かくもみごとに天下無敵の剣豪を斬った人間は、果たして何者か?そしてなぜ閉じているはずの片目が開いているのか―?江戸慶安と室町を舞台に、三厳と満厳、二人の柳生十兵衛の活躍と最期を描く、驚天動地の傑作伝奇!
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大学卒。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で第2回探偵作家クラブ賞を受賞。63年から刊行された「山田風太郎忍法全集」がベストセラーとなり忍法帖ブームをまきおこした。その後も明治もの、室町もの等多彩な作品で人気を博す。2001年7月28日逝去。10年にはその名を冠した山田風太郎賞が創設された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
28
冒頭に柳生十兵衛の死体を出して、そこに至るまでの物語であると明示する山風の柳生十兵衛ものエピローグ的作品。性格は陰と陽ぐらい異なる二人の柳生十兵衛をはじめ、後の足利義教である義円がひきいる青蓮衆、剣の怪人・師匠の愛洲移香斎、服部半蔵に由比正雪と味つけの濃いキャラ立ちまくってる。傍若無人な権力者への反抗という活劇らしい軸もあるが、十兵衛が求めているのは最強である己の剣を振るえる相手であるのが、いい感じに安心させきらない。時代劇にあるまじきタイムスリップ要素をどう生かしていくのか。2020/11/16
本木英朗
20
作者の傑作伝奇小説である。山城国木津川の河原で柳生十兵衛の亡骸が発見された。その脳天から鼻ばしらには絹糸のような刀のすじ。かくも見事に天下無敵の剣豪を斬った人間は、果たして何者か――?という話である。江戸慶安と室町を舞台に、三巌と満巌、二人の柳生十兵衛の活躍と最期を描く、ってところが本当に凄いのよねえ。さすが山田風太郎先生である。とにかく下巻に進むしかないってば! ではでは、また。2020/11/21
Book Lover Mr.Garakuta
20
図書館本、速読。複雑に絡み合う登場人物達に関しどう言う繋がりがあるねんと思うたよ。ても、借りてきただけあって、面白かった。2020/11/16
河内 タッキー
16
27年積読していた。文庫で何度目かの再版になるが、これを機に読む。これは面白い。ただ、単行本出版当時の浅い知識で読んでも楽しめなかったと思う。30年近く経って、歴史であったり、作者の作品の知識を、多少なりとも増したことで、自分的には今だからこそ楽しめたのではないかと思う。作者おなじみの由比正雪や愛洲移香斎が登場し、懐かしかったり、世阿弥つながりで楠木正成や、長曾我部盛親などの名前も登場する。これだけでも面白いが、上巻の終盤に入り、この作品のミソであるタイムスリップが起きる。これからどんな展開になるのか。2020/08/26
のれん
15
足利義満に仕えた陰流の柳生十兵衛。将軍家光に仕えた新陰流の柳生十兵衛。なんとも奇縁なことに人間関係、境遇、実力の逸話など二人には共通点が多い。 足利家と天皇の秘密を握る一休や、紫衣事件で有名な数百年ぶり時代に振り回された女帝など、本作の鍵となる人物はどれも主役張れる大物ばかりなのも特徴。 結末を先に描いているからこそ気になる。さてはて柳生十兵衛はなぜ死に、どこへいったのだろうか。2021/06/19