出版社内容情報
1960年代、「おばんざい」という言葉を世に知らしめた食エッセイの名著が初文庫化。京都の食文化を語る上で、必読の書の春夏編。
内容説明
京の町屋の食卓で日々食べられている、ふつうのおかず―おばんざい。いまや京都の食の代名詞のひとつとなったこの言葉を一躍世に知らしめた、一九六〇年代刊行の名著。お朔日のにしんこぶ、いもぼう、八のつく日のあらめ、月末にお金の尽きたころ炊く、安価でも味つけに工夫を凝らしたおから。自らお勝手に立ち続けた生粋の京おんな三人が、滋味深い文章で綴った昭和の記録の春夏編。
目次
京のことば
ひちぎり
身しじみ
ばらずし
ぐじの酒むし
かやくごはん
たらの子
ぼたもち
ぜんまい
かやくなべ
しらあえ〔ほか〕
著者等紹介
秋山十三子[アキヤマトミコ]
1924年、京都・祇園の造り酒屋に生まれる
大村しげ[オオムラシゲ]
1918年、京都・祇園の商家に生まれる。随筆家、料理研究家として雑誌やテレビ等で活躍、食のみならず広く京の文化を紹介した
平山千鶴[ヒラヤマチズ]
1919年、彦根で医者の家に生まれ、京都・中京で育つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
19
タイトルそのものの本。腹をぐうぐう鳴らしながら読み終えました。それにしても、野菜それぞれを個別に煮る煮物とか、いちいち凄まじい手間ひまがかかっている。海が近くにないので魚料理のレパートリーが少ないのが、和食として見ると新鮮。ルーツに京都があるものの、あまり訪れたことはなかったが、これを機に行ってみたくなった。秋冬編もいつか読もう。2023/12/18
雷華
14
【お風呂で読書】京都のおかず『おばんざい』を季節やそのときの行事に沿って3人の著者が綴っていくおかずにまつわるエッセイ。特別の日の料理もあれば、ありふれた日常のおかずもありましたが、どれも美味しそうです。京都の風土に密着した品々は、現在では他の地域でも食べられているものもあり…水無月とか好きです。ただ、京訛りと独特の表現や価値観に馴染めずかなりスローペースになりました。その土地特有の風土に根付いたものって良いですよね。2020/07/30
Ribes triste
11
京ことばの語りくちは、ふうわりとして読んで心地よい。普段の何のてらいのないごはんなのだけれど、無性に食べたい気分にさせられる。2020/06/14
そうたそ
9
★★★★☆ 秋と冬の方から先に読んでしまったが、こちらも。まったりとした語り口が心地よく、飾り気のないおばんざいの良さを噛み締めるかのように読む。ハンバーグ、からあげ、ラーメン、カレーもいいけれど、おばんざいという文化は日本人の心のどこかにいつまでも残ってるはずだと思う。現に、この本を読んでいるだけで、美味しそうだと思うことが何回も。こういう隠れた名作を復刊してくれるのは、本当にうれしい限り。2023/09/16
でろり~ん
1
知らないはずだけれど、なんだか懐かしいような、感心させられる一冊でした。おばんざいって、定食屋さんのおばんざい定食しか食べたことないっす。カレーライス、コロッケ、ラーメンもおばんざい? そなんですねえ。ぜんぜん取っ散らかった理解しかしていなかったですね。材料の名前もよく分からないまま読みましたが、京の人たちの誇りのような感覚を感じました。今は、どうなんでしょう。今でもこうして作っている人も居るんでしょうか。そうだ、京都行こう、ってならないからね、今は。コロナ居なくなったら行ってみようかしらん、京都。2021/01/08