出版社内容情報
25歳、自らの意志でこの世を去った女性編集者の約2年間の日記。16年の本屋大賞「超発掘本」、無二の一冊を文庫化。解説:穂村弘
内容説明
目覚めなさい。現実から目覚め、「私」から目覚めなさい。もっと深く夢見たいのなら―。二十五歳の若さで自らこの世を去った女性編集者・二階堂奥歯。亡くなる直前まで書かれた二年間の日記と、作家や恋人など生前近しかった十三人の文章を収録。無数の読書体験や鋭敏な感性が生み出す、驚くべき思考世界と言語感覚。著者没後十七年、さらに鮮烈さを増す無二の一冊。2016年本屋大賞・発掘部門「超発掘本!」
目次
日記―二〇〇一年六月一三日~二〇〇三年四月二六日
記憶―あの日、彼女と(空耳のこんにちは(雪雪)
教室の二階堂奥歯(鹿島徹)
エディトリアル・ワーカーとして(東雅夫)
二〇〇二年の夏衣(佐藤弓生)
六本脚の蝶から(津原泰水)
夏のなかの夏(西崎憲) ほか)
特別収録 『幻想文学』二階堂奥歯ブックレビュー
著者等紹介
二階堂奥歯[ニカイドウオクバ]
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業。編集者。2003年4月、26歳の誕生日を目前に自らの意思でこの世を去る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
134
25歳の短い生涯を駆けぬけた女性編集者の2年間の日記(ブログ)。最後の日付には「二階堂奥歯は、まだ朝が来る前に、自分の意志に基づき飛び降り自殺しました」。生きた日数より読んだ本の数が多い無類の読書家。幻想小説、化粧、ファッション、貞操帯など、彼女の興味は(哲学を除いて)私とは全く重ならないが、独特の美学と鋭い感性で、本と格闘し思索する青春の姿に胸がキリキリと痛む。最後の一週間、多くの聖句が書き写されているが「信仰ではなく意志」を選んだ奥歯さん。これだけの文章を前にしても、彼女の本当の心はまだ理解できない。2022/01/22
やいっち
117
(本文の最後近くを読んでいた際のメモ)仕事の合間に読んできた。が、いよいよ末期の時が迫ってきていた。気になって残りを自宅で。本当に飛び降り自殺を遂げた。生きる苦しみより死んだほうがまし。痛いのは嫌だと愚痴りつつ、やるしかないと。飛び降りて地上に激突するまでの2秒間の間、何を考えたろうか。他人時間は2秒でも、死に至る時間は永遠だったはず。彼女が死ぬほど怖がった痛みは感じる暇はなかった? 急激に迫る地上…アスファルトは救いへの光だった? 2021/10/08
カフカ
70
25歳で夭逝した、編集者二階堂奥歯さんのWeb日記を書籍化したもの。天才の頭の中を覗いた感覚だった。3、4歳の頃からとてつもない量の書物を読み、学生時代の全国模試では何度も全国一位になるほどの知性を持ち、見た目は美しくお洒落で、実家も裕福。傍から見ると全てに恵まれているように見える。だが彼女は長く希死念慮にとらわれていた。段々と精神が崩壊していく様が書かれているが、私のような凡人にはその理由が分からなかった。ただ、子供の頃から多くの人が一生の間に知り得ることの何倍、何十倍も理解していた彼女には→2023/05/07
なる
47
どこにでもありえる、決して珍しくはない、ありふれた、けれど稀有な、その結末へ向かうまでに綴られた溢れるような言葉の中に、どこか懐かしい残滓を記憶の奥に見つけてしまう。あー、これはあの時に選ばなかったもう一つの物語だったんだな。共感はしないけれど共鳴はするしかつてしていた。だからもどかしいし、逆にはじめて触れたのが今でよかったのかもしれない。それは不幸かもしれないけれど取り返しはつかなかっただろうし。好む場所も、ファッションも、独善さも、背筋が伸びるほど同じスピードで。早稲田っぽいなと思ったら早稲田だった。2022/06/15
小太郎
46
本屋大賞発掘本部門で穂村弘の帯の文句にも惹かれました「今こそ彼女の言葉が必要なのだ」25歳で自殺された二階堂奥歯さんの死の着前までの2年間の日記と本のレビュー、13人の関係者の文章が一冊の本になっていました。2年の間に才能溢れる彼女が段々と屈折して変質していくのが分かるのである意味怖い本です。昔読んだ「20歳のエチュード」も「20歳の原点」もこんな感じだったような気がします。読んでいてとてもセンシティブな文章でなのでちょっと辛い。若い内はどうしても向こうから引っ張られる人がいるんだろうなと思いました。★42023/05/18