出版社内容情報
古代から近代まで、諸国の山野に伝わる怪異譚、不思議話を多数収録。旅人や山人の記録を現代語訳で。
内容説明
いにしえよりずっと、村びとや木こり、旅人や行商人、また僧ですら、山懐や奥山に分け入れば、さまざまに人知を超えた怪異や妖かし、不思議に遭遇してきた。そんな古代から昭和にまでわたる、諸国に伝わるこわい話・奇妙な話を『諸国里人談』『奇談雑史』『怪談実話揃』などの奇譚の宝庫から蒐集し、現代語訳で届ける怪異集。
目次
古代・中古(奈良~平安時代)(法華経を誦す髑髏;役行者と鬼 ほか)
中世(鎌倉~安土桃山時代)(盗賊・熊坂長範の高野山の歌;高野山の入道のもとに通う妻 ほか)
近世(江戸時代)(異獣;山男 ほか)
近代(明治時代~昭和)(天狗森;鼠になった狩人 ほか)
附録―山窩綺談 釈迦ヶ嶽のおせん
著者等紹介
志村有弘[シムラクニヒロ]
1941年、北海道生まれ。伝承文学・近現代文学研究者。相模女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
38
里山にまつわる奇譚集です。民俗学の教科書かの様です。前半はとても面白く読み進めました。しかし、後半以降はトーンダウン。同じような話の繰り返しで少々退屈しました。前半はのめり込んで読み、後半は流し読みでした。2021/12/13
あたびー
22
#日本怪奇幻想読者クラブ 志村有弘氏が、山に関する怪談を古代〜昭和にかけて様々な書物から収集し編んだ本。日本の古い怪談は、概ね宗教的な訓戒を含んでいる。山には寺の意味もあるし。また、実際の地名も多く出てくるのが興味深い。山なので信州越後多めで、近代は「北越雪譜」「近代百物語」などから多く取られている。淡々とした訳文なので、夜読んでも大丈夫。2020/07/16
まめこ
18
★☆☆☆☆諸国に伝わる古今の不思議話。どうにもならない自然や神威への畏怖から生まれたと思われる話が多い古代は面白い。しかし中世以降となると、良いことしたから幸せに悪いことしたから不幸になったというような、人の生活に怪異が織り込まれた話が多い気がした。怪異をもいいように解釈するようになった不遜な人間の方が怖いなというズレた感想が残る。最後の附録が超絶ガッカリ、なんなんだ?2023/04/26
yamakujira
7
「古代・中古」「中世」「近世」「近代」と時代別に章立てして、83編の掌編奇譚と附録小説を収録。「役行者と鬼」「こぶとり爺さん」という有名な話や「耳嚢」出典の「呼出し山」、「北越雪譜」出典の「熊に助けられた男」といった聞いたことのある話もあるけれど、こうした奇譚には「船岡山の怪」「山男」「山言葉」「成島山震動」「破目山」などなど山を舞台にした話が多く、かつての里人にとって山が異界であることが伝わって興味深い。おでかけのお供に少しずつ読み進めて読了まで数ケ月、記憶に残らない話も多いな。 (★★★☆☆)2022/04/27
たけとり
2
日本霊異記や宇治拾遺物語、新著聞集といったお馴染みのものからマイナーなものまで、様々な文献にある山での伝説や怪奇な話を集めた本。そういうのを読むのが好きな人向け。目次で時代順に配置されているので分かりやすくて面白かった。そういや「こぶとり爺さん」も山の怪異だよねぇ…w2021/02/08