出版社内容情報
ひかり公園で生まれた6匹のねこたち。いま、彼らと、その家族との物語が幕を開ける。生きることの哀しみとキラメキに充ちた感動作!
内容説明
生まれてすぐに「ひかり公園」に捨てられたニーコ。幸運にもおばあさんに助けられ幸せな日々を送っていました。しかし三度目の春、おばあさんとの別れは突然やってきます。ふたたび公園に戻ったニーコは六匹の子ねこを産みました。そして…。いま、子ねこと、彼らを家族に迎えた人々が奏でる命の物語が幕を開けます。生きることの哀しみと煌めきに充ちた、猫小説の新たな代表作の誕生!
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968年生まれ。劇作家、小説家。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。俳優を経て、87年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を受賞。97年『家族シネマ』で芥川賞を受賞。著書に『フルハウス』(泉鏡花文学賞・野間文芸新人賞)『ゴールドラッシュ』(木山捷平文学賞)他多数。2018年、福島県南相馬市小高区に本屋「フルハウス」をオープン。同年「青春五月党」を復活させる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
257
母ねこと、その仔6匹の4話の連作短編。何処がモデルなのでしょうね? 野良ねこに厳しい街(。•́ - •̀。)。保健所送りにしたり、毒殺したりするよ。……野良であっても「みだりな」殺傷は違法ですよ。飼いねこが誤って口にした場合、賠償責任を負いますね。餌やりもNGですが。人の利己的な振る舞い、人間関係の拗れなど、ありそうな状況や科白の言葉が、鋭過ぎる事がある様に思えまして。儂の心も削られますよ。でも、街の良心田中さん、動物病院の港せんせーが居てね。仔ねこ達は貰われたおうちで穏やかに過ごして欲しいね。2022/11/30
H!deking
93
久しぶりの柳美里。1匹の猫から産まれた子猫たちに纏わる連作短編集。これは猫好きな人はもちろんそうじゃない人にも是非読んで頂きたい素敵なお話でした。いやーめちゃくちゃ面白かった!おすすめ!2020/08/19
buchipanda3
87
猫の居る暮らし、人と猫の日常を描いた物語。最初の話は童話のように落ち着いた口調で語られるけど、人と猫の現実的な関係を見ているようでとても切なくなった。人の身勝手さで捨てられた子猫、その子を拾って大事に育てた人に降りかかった出来事で残された猫に待ち受けていたもの。それでも引き継がれた命が新たな人との日常を紡いでいく。日常と言っても、人にも猫にも平々凡々なだけじゃなくて、自然や世の中の容赦ないものがたくさんある。だから尚更、人と猫は寄り添うのもいいのじゃないかなと思った。最終話のニーコのおうちの場面がいいね。2019/08/23
papako
68
装丁に惹かれて読んでみた。しかし予想した雰囲気ではなく息苦しかった。捨てられたキジ虎の子猫がおばあちゃんに助けられてニーコになった。捨てられたひかり公園とニーコの子猫達が拾われていったそれぞれのお話。ほっこりもできないし、なんだかやるせない。でも、猫は猫でニーコだけはニーコだけど、あとは人が語るので、猫が喋らないのはよかった。不思議と読まされた。2019/10/18
市太郎
38
頂いた本。初読みの作家。不幸な生い立ちの猫が産んだ6匹の子猫達の話。最初は軽い感動物語なのだろうと高を括っていたが、思ったよりも重いテーマの質量のある小説だった。この手の動物物語はペットを擬人化してる事も多いが、何処までも猫は猫だった事に好感を持てた。バランス的には人間一人に猫が一匹というのが良いのかも知れない。ねこのおうちとは家そのものでなく飼っている人自身なのかもしれないと思ったからだ。死んだ人には死んだ猫がつく。人の死は時に芸術的だが猫達の死はあまりにも無残だ。しかし同じ死である事に考えさせられた。2019/09/01