出版社内容情報
先住民族と、征圧したヤマト王朝の形成史を軸に、日本単一民族論を批判し、天皇制、賤民史、部落問題を考察。増補新版。
内容説明
日本列島にあいついでやってきた諸民族の源流論と、先住諸民族を制圧しつつ成立したヤマト王朝の形成史という二つの論点を天皇制論議の基礎に置き、“日本単一民族”論の虚妄性の批判という今日的なテーマを実証的に展開する。日本民族の諸源流、天皇制、賎民、芸能史、部落問題を横断的に考察する、沖浦学の記念碑的著作。
目次
序にかえて わが人生の転機
1 日本民族の諸源流(日本民族の五つの源流について―天孫族はどこからきたか;瀬戸内海の海賊衆―天皇の国家と海人 ほか)
2 天皇制と賎民制(天皇と賎民―両極のタブー;鎖護国家仏教の“貴・賎”観―インドのカースト制と日本の密教 ほか)
3 底辺に生きた人びと(日本文化の地下伏流―日本の芸能史における“聖”と“賎”;わが部落問題との出会い―被差別部落の古老と高橋貞樹)
4 天皇劇の舞台裏(神聖天皇劇と民衆―明治維新の舞台裏;近世民衆文明の足跡―日本史の転換点 ほか)
増補 一九四五年・八月十五日前後―ダイハツ工場での一年有半
著者等紹介
沖浦和光[オキウラカズテル]
1927年、大阪生まれ。東京大学文学部卒業。比較文化論、社会思想史専攻。桃山学院大学名誉教授。2015年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fseigojp
6
騎馬民族王朝説を信奉しており眉唾。。。でも竹細工民、家船民の研究はとても実証的 網野学説もそうだったが2025/04/16
Tsuneyuki Hiroi
0
明治になってから、部落差別がより激しくなった理屈がよくわかる一冊である。天皇の崇高さを醸し出すために、部落民を蔑むという構図。部落民の起源についても書いてはいるものの、明治以降の政権、現在まで続く薩長政権が部落民を殊更に蔑むことで、自分たちの正当性を誇らしめていると感じた。2021/08/25
ameco
0
読み終えたタイミングがこの先も体験できるかできないかの貴重な時であることは特に意味がない。平成から令和へと元号が変わり、来週には今上天皇の即位礼正殿の儀があり、来月には大嘗祭がある。本書では日本民族の源流、賤民、天皇制、部落問題の考察から差別の本質などが論じられている。勉強不足なところが多く、理解の進まない箇所もあったが、関連書を読んだあと、再読してみたい。2019/10/17